10輪目 ページ12
外に出ると、大分暗くなってきていた。
「緑間と亜麻野が幼馴染みだったとはなー。」
「そっか、大ちゃんは知らなかったんだ。」
「さつきちゃんと青峰くんも幼馴染みだもんね。面白い偶然だよね。」
「確かにな。」
道中、雑談していると本屋の前を通り過ぎる。
「あっ、やべ。新刊が出てたんだった。ちょっと行ってくるわ！」
すると慌てて青峰くんが本屋へ入っていった。
「へぇ、青峰くんも読書とかするんだ。」
「アイツにしては良い趣味なのだよ。」
「いや、多分違うよ…。」
私と真ちゃんが感心していると、どこか呆れた表情でさつきちゃんが否定する。どういうことだろうかと首をかしげていると、彼が袋を片手に出てきた。
「悪い、悪い。でも、おかげで買えたぜ。」
「良かったね。どんな本を買ったの？」
嬉しそうな彼に尋ねると、
「これだよ、堀北マイちゃんの写真集！」
袋から出した雑誌を片手に言い放つ彼。水着姿の女性が表示を飾るそれに絶句する。
「お、お前…なんて雑誌を買っているのだよ！」
「大ちゃんったら2人の前で…。もう、いい加減にしてよ！」
真ちゃんとさつきちゃんの怒声が響く。
「別にいいじゃねーかよ。なぁ、亜麻野？」
「そ、そうだね。あはは…。」
同意を求められるが苦笑する。
「だろ？亜麻野は分かってんな。」
「マイちゃんのどこが好きなの？」
いや、純粋に彼女のファンなのかもしれないと思い尋ねてみる。
しかし、「そりゃ、この胸だろ！やっぱ巨乳が一番だよなぁ。」という彼の返事に、開いた口が塞がらない。
「なんて下品なヤツなのだよ。」
「ほんとに幼馴染みとして恥ずかしい…。」
2人はもう呆れた果てていた。
呆然としていると、私を見ていた彼の目線が下がる。
「亜麻野もいいモン持ってるけど、マイちゃんほどじゃねぇな。」
「なっ…！」
思わず手で胸を隠して真ちゃんの背中に隠れる。
なんてことを言ってるんだ、こいつ！というか、中学生とグラビアアイドルを比べないでほしい。
「なっ、ミケにいかがわしい目を向けるのはやめろ！」
「そうだよ、大ちゃん！」
「へいへい。悪かったって。」
2人に叱られるも青峰くんはどこ吹く風だ。
そんな感じで騒ぎながら私達は帰路につく。
…とりあえず、青峰くんが思春期真っ只中の男子だということは分かったよ。
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作者名：みぃ太郎 | 作成日時：2023年6月22日 13時
