溺愛される鬼少女③ (ページ4)

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会議後② ページ4

「まって…！」

実弥さんの服を掴むと簡単に止まった。
何も言ってくれない。

「本当、ごめんなさい」

いくら義勇さんに連れて行かれたって言っても私も約束忘れてた。

怒られて当然だよね。

「…」

「実弥さん、何でもするから許して…」

そう言うとくるっと向きを変えて私を見た。

「富岡との時間は楽しかったかよォ」

「…え」

「抱擁した後に接吻かァ？テメェら恋仲じゃねぇだろうなァ」

なぜ知ってるんだ。
もしかして見てたの？この人。

「恋仲じゃないです」

「…ッ知ってるわ」

でしょうね。
っていうか実弥さんはたぶんだけど怒ってない。

「拗ねてるんですか」

「…悪るいかよォ」

耳まで真っ赤にした実弥さんが急にしゃがみ込んで腕で顔を隠した。

「ふふ、悪くないです」

なんか可愛いなと思って面白くなって
ちょっとからかってみようかな。

実弥さんと同じ体勢になって話しかける。

「実弥さんも接吻しますか？」

「接吻じゃ足りねェな」

顔を上げたけどまだ赤い実弥さんが真剣な顔でそんなことを言うから後ずさりした。

斬られるんじゃない、私。

「逃げんな」

「…なんか無理です」

身の危険を感知してる。
本能で危ないって思う。

「待てよ」

私の腕を掴もうとする実弥さんを避けて距離をとった。

「なんでもするんじゃねぇのかァ」

「やっぱり忘れてくださいそれ！」

なんて言ってると実弥さんは大人しく座って自分の隣をポンっと叩いた。

「別に襲って食ったりしねぇよ」

「く、食う？」

「いいからァ、こっち来い」

あぐらをかいてその足の上で頬杖をついた実弥さんがため息をつく。

「避けられると傷つく」

俯いてそう言う。
待って待って、きゅんってした。

「か、かわ」

くそかわ。
とりあえず実弥さんの隣に座った。

「…抱きしめていいかァ」

そう聞いてきたので腕を広げると
ボフッと腕の中に収まった実弥さん。

どうしよう、連れて帰りたいや。

「お前が富岡と…他の男といると妬くんだよォ」

なんだかさっきから少女漫画化してない？
と思いつつ実弥さん背中を撫でた。

「私は誰のものにもなりませんけどね」

恋人なんてほしくない。
いつ死ぬか分からないのに"特別"なんて作りたくない。