検索窓
今日:2 hit、昨日:15 hit、合計:65,004 hit

・34 ページ34

その日の夜、Aを除く調査員が会議室に集められた。





「敦、あの小娘について何か変わったことは。」





国木田が中島にそう尋ねた。中島は少しの間の後、口を開く。





「Aちゃんは今日、一人で十数人の密輸者を制圧しました。密輸業者は武器密売人だったらしくて………その時、銃を持っていた男から、僕を庇ってくれました。」

「その話は報告書で聞いた。そこじゃない。現場を太宰と共に見に行ったが、余りにも不自然すぎた。」

「大きなクレーターに壁の罅。まるで重力によって捩じ伏せられたり、なにかに弾き飛ばされでもしたようだ。敦くん、君は彼女に助けられたと言ったけど、二人とも殆ど無傷だったね。拳銃を含め、武器を持った相手に彼女は君をどう守ってくれたんだい?」





太宰の目が中島を鋭く射る。中島は冷や汗を流しながら俯いた。





「い、言いたくない……です………」





中島の言葉に、調査員たちは目を見開く。





「Aちゃんは、今日の事をいずれ知られる事だって言っていました。今日知られようが変わらないって……でも、その時のAちゃんは凄く悲しそうで、暗い表情をしてたんです。Aちゃんにだって、知られたくないことくらい、絶対にある筈なんです。……太宰さん、乱歩さん、お二人は、もう彼女が何者なのか、知ってるんじゃないんですか……?」





中島が二人にそう尋ねた。江戸川は駄菓子を食べる手を止める。太宰が口を開いた。





「確かに、ある程度の予想はついてるよ。」

「お願いします。Aちゃんが自分から話すまで、待ってあげてくれませんか……Aちゃんは、警戒するほど悪い子じゃないのは確かなんです。」

「………敦、君何か勘違いしてない?」





江戸川がくるりと椅子を回転させてそう言った。





「僕達は別に、あの子が怪しいとか、危ないとかは思ってないんだよ。彼女を守るためだ。」

「彼女を……守る………?」

「そうだよ。僕の推理は正しい。太宰の予想もきっと当たっているはずだ。だからこの推理を確信させ、彼女を守る必要があるんだ。」





江戸川の目がゆっくりと開かれる。会議室に緊張が走った。





「彼女を狙っているのは、ポートマフィアだ。」

・35→←・33



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (209 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
187人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

琉亜 - うち的にはもうちょい安吾との絡み見せて頂きたい (2023年2月23日 23時) (レス) @page7 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月29日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。