・38 ページ38
｢あらあら、随分と甘えたさんになっているじゃない。いつからそんな虎ごときに守ってもらうほど弱くなったの？光の世界って言うのは、少し居るだけで弱り果ててしまう毒作用でもあるのかしらねぇ鏡花。35人の命を奪った事を誇っていたにしては随分としおらしいようだけど。｣
｢うるさい！！！！あなたに……あなたに彼女の何が分かるんだ！！！！｣
そこで初めて、中島が言葉を発した。咄嗟の怒鳴り声だった。その時、あぁ、しまったと思ってしまった。しかし彼女は少しも気にして様子もなく、目を細めた。
｢全てよ、全て。あなた達には分からないだろう全てを私は知っている。殺戮の異能を持ちながら、光の世界に毒されて闇を振り払ったその少女の全てを知ってる。でもね、私はそれを間違いだとは思わないし、鏡花を無理に連れ帰りたいとも思わない。
だって、彼女程度の戦力が無くなったところで、私は困りはしないもの！｣
彼女の言葉が、グサリと泉の胸を突き刺した。泉は、少なからずAとは良好な仲を築いていたと思っていた。姉のように慕い、任務に成功すれば頭を撫でて褒めてくれた。たくさん、たくさん褒めて、貴方は私の自慢だと笑ってくれた。ポートマフィアを抜けてもなお、彼女の事だけが心残りだった。
｢鏡花、私はね、あなたにそこまでの興味を示していないの。光に毒された闇など、枯れた花と同じ。枯れた花は用済みとなって処分される。あなたの居場所は、闇の世界の何処にも無くなった。そして、いつか光の世界にだって居場所はなくなる。だって、あなたの手は光では拭いきれないほど汚れているんだもの。｣
彼女の言葉の一つ一つが、刃のように泉を襲った。場の空気がどんどん尖っていくのが分かる。
｢でも、今ならまだ間に合う。闇の世界で、またもう一度あなたの居場所を作ることが出来る。私にはそれが出来る。今ならまだ帰れるよ、鏡花。私にもう一度、あなたを必要な存在だと、必要な戦力だと思わせてちょうだい。｣
｢何を言ってるんだ……！！鏡花ちゃん、あんなの聞いちゃダメ、だ……鏡花ちゃん……？｣
｢おい、何をやってる鏡花！！｣
｢鏡花さん！｣
今まで中島の背に隠れていたはずの泉は、ふらふらと彼女の方へと歩み始めた。他の社員が止めに入る言葉も聞かずに。その姿に、Aは小さく笑った。
差し伸べられた手を取ろうと泉が手を伸ばした時、その手を誰かが掴んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 555人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あっきーばか(プロフ) - 初コメ失礼します。志賀くんタイプで性癖です。嫁にください。この作品の推し志賀くんになりました！読んでいてとても面白い作品をありがとうございます‼️更新頑張ってくだせぇ (2022年3月27日 10時) (
レス) @page20 id: 43feeb5241 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - 妹系大好きです！太宰さんとすれ違っている感じの夢主ちゃん、気持ちわかる…！！別小説なんですが、おっかな妹とかすっごく好きで！！現在は更新停止になっているようですが、また再開するのを楽しみにしています！！あと！反社とJKも大好きです！応援してます！！！ (2022年2月10日 18時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！夢主ちゃんかっくいいぃぃぃぃぃぃい！もはやこの作品での推し夢主ちゃんかもしれない、、、←更新楽しみにしてます！ (2022年2月10日 2時) (レス) @page46 id: eaf6e1fdb7 (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 花蛸花さんが文スト作品を書いてくれるなんて思ってもいませんでした！しかも太宰さん！嬉しいです！！😭✨更新頑張ってください！！！ (2022年2月2日 11時) (レス) id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2022年2月2日 2時
