反社(本業)とJK-2【東リべ】

・13 ページ13

12月31日。とうとう今年最後の夜となったその日は、年末ということもあり特番ばかりだ。某歌番組にチャンネルを切り替えて、彼女が年越し蕎麦を作る姿をリビングから眺める。天ぷら蕎麦を作ると張り切っていた彼女のために高級食材を揃えたら随分と喜んでいた様子で、今も上機嫌だ。

正月の材料もいい物を取寄せてやればよかったかな、なんて考えるが、その辺は彼女の方が詳しいはずだ。下手に手を出すよりかは彼女に任せた方がいい。

遊んでくれ、とロープを持ってくるレオの頭を撫でてやり、ロープの端を掴んで左右に振ってやると、ブンブンとしっぽを振りながらそのロープを引っ張った。





｢蘭さーん、ご飯出来ましたよ！手洗ってきてください！｣

｢はーい。レオ〜お前も飯の時間だぞ〜｣





そう言ってロープを離すと、わふわふ、と数回鳴いたあとしっぽを振りながら彼女の方へと走っていく。レオのエサもいつもよりも少し豪華なものにすると言っていたので、きっといつも以上に食い付きがいいだろう。

蘭が手を洗って戻ってくると、テーブルの上には蕎麦の入った丼が置かれていて、レオはそのすぐ側で先に食べ始めていた。椅子に座ると、Aがそのすぐ傍に酒の入ったグラスを置いた。





｢ありがとな〜｣

｢いえいえ！さ、冷める前に食べましょう！｣




手を合わせて、いただきます、と二人の声が重なる。この瞬間が意外と好きだったりするのだ。

いいものを使っているだけあっていつも以上に美味い。蕎麦を食べながら一年をふりかえっていくと、結構濃い一年になったと思う。普段からギトギトに濃い日常を生きている蘭からしても、相当濃かったと思う。

蕎麦をお腹いっぱい食べた二人はソファーに横並びに座ってテレビをぼーっと眺める。





｢今年は紅と白どっちだと思います？｣

｢ん〜俺、紅白なんてそうそう見ないからなぁ〜Aちゃんはどっち？｣

｢私、こっちにいるアーティストさんが好きなんで、こっちに優勝して欲しいですね……｣

｢じゃあ俺もそっち〜｣





紅白なんて子供の頃に見た以来だ。その時は竜胆と二人で並んでみていたが、大人になってからはそんな時間もほとんどなかったし、子供の頃ほど興味もなかった。でも彼女とせっかくゆっくり出来る年末なのだから、紅白をじっくり見ながら話をするのも悪くは無い。

・14→←・12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す