反社(本業)とJK【東リべ】

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彼女の周りには不良が多かった。可愛らしい笑顔に、あの人懐っこさ。少し大人びたところもいい所だ。自然と人が寄っていったし、大寿もそのうちの一人だった。めんどくせぇ、なんて口で言いながらも膝の上に座らせて、あやとりをしながら幼稚園での話をする彼女の言葉に、うんうんと耳を傾ける。身振り手振りで話をするものだから、あやとりの紐がすぐにその小さな指から取れてしまうのだ。

そんなに小さな頃から彼女のことを知っていたし、可愛がっていたつもりだ。だからこそ心配しすぎてしまうところもある。心配性だと彼女は言うが、それは大寿も周りも重々承知している。それでもみんながみんな、彼女の事が心配なのだ。子供のうちなら好きな男と付き合って別れを経験する事も大人への階段の第一歩だと目を瞑るだろう。将来は優しくて誠実で、ある程度まともな奴と結婚して欲しいと思うし、子供が産まれればそれこそまたひとつの幸せだ。

仕事から帰ってきた旦那を、可愛い子供たちと共に出迎えて、テーブルを囲んで彼女の作った夕食を食べる。笑い声に包まれる食卓。なんとも幸せな光景だろうか。笑い声に包まれた暖かな家庭を築いてほしいと心から願っていた。しかし、今目の前にいる反社(この男)に、それを叶えられるのだろうか。目の前の男と結婚するかなんてまだ分からない。彼女はまだ子供なのだから。しかし、彼女の様子を見ても、この男の様子を見ても、お互いが本気で想いあっていることなんてすぐにわかった。





｢…俺はあいつにまともな男と結ばれて、まともな生活を送ってほしいと願ってる。俺だけじゃねぇ、みんなそう思ってんだ。お前にそれが出来るか？出来ねぇだろ。あいつにまともな幸せを与えてやることが、お前に出来んのか？｣

｢………まともってそんなに大事かァ？｣





蘭は心底不思議そうな顔をしながら顳顬を親指でかいた。





｢確かに俺はまともじゃねぇし、Aちゃんにまともな幸せなんてやれねぇけどさぁ……Aちゃんが幸せならそれでいんじゃねぇの？俺は幸せにする自信がある。それじゃダメかァ？義兄さん♡｣





真剣な顔で述べたかと思えば、間の抜けたような声でへらへらと笑う。幸せ。そう、あの子が幸せならそれでいい。まともな幸せなんて人それぞれだ。好きな男と結ばれて、子供が出来ればそれもいい。





｢義兄さんなんて呼ばれるにははえーぞ。結婚を許可した覚えはねぇ。｣





大寿のその言葉に、蘭は口角を上げた。

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