三四 あざいとあさひ ページ34
*
「えぇ!?
じゃ、あの猫の名前浅井が付けたんすか!?」
「多分お市さんですけどね」
「いや、もっと驚きますって」
食後にあさひのことについて聞かれたので正直に答えれば御三方にとても、とても驚かれた。
そのどれもが『あの浅井が?』というものだったのだが、彼は一体何をしたんだろうか。
まぁ3人とも動物は嫌いではないらしく、私や左近くんが風呂に入っている間も、三成さんやぎょーぶさんが遊んでくれていたようだ。最後に私があがった時には疲れてぎょーぶさんの脚の中で寝落ちしていた。
「すみません、なんかお世話になっちゃって」
「ヒヒッ、何。易い、ヤスイ」
「……私たちも、世話になっているからな」
「三成様の言う通りっすよ!
ま、このままでもアレなんであさひ運んできますよ。寝床は? どこですか?」
うん、やっぱり皆さんいい方だ。
特に私は最近忙しくてろくにあさひに構えてない日々が続いていたのであさひにとってもいい触れ合いになっただろう。さて、そこで思い出す。彼女は普段どこで寝ていただろうか?
「……箪笥の上、ですかね」
失念していた。
トイレはちゃんと置いていたが、小屋や寝床という概念をすっかり忘れ去っていた。
三成さんが聞き返し、ぎょーぶさんがため息をついた。そして左近くん。
「そんな所に寝かせてるんすか!?
論外ですよ、今日は俺が一緒に寝るので!!」
えっ流石にそこまでしなくとも……と思ったが彼の顔にふと何かしらの懐かしさを覚えたので、口を挟むのを辞めた。何だろう、健気さ?
「じ、じゃあ……お願いします?
では私も寝ますね。おやすみなさい」
和室の電気を消し、襖を閉める。
そして私もリビングのソファベッドで寝る
……訳もなく。思い出してみてほしい、なぜ今日私がバイトを外してもらい早く帰宅したのかを。
『あらA。寝るのではなくて?』
「あぁ、さくらさん。
うん、締切近いレポートが大量にあって」
そう、課題が山積みだったからだ。
本来なら今日帰って寝るまでひたすらやろうと思っていたんだが……こればかりはしょうがない。
だけど、私も私でバイトの休みは明後日までしかもらっていない。延長も可能だが、3人分の食事が上乗せされた状態では1秒でも早くバイトに戻らないといけない。
つまりは明後日までに全て終わらせなければならない状況。となると、オールも視野に入る。
とりあえずブラックコーヒーとカフェイン剤を引っ張り出して、私はレポート用紙を広げた。
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さしみ(プロフ) - 初コメ失礼します!長らく更新させてないようですがとても面白かったです。いつか更新されるようならまた読みに来たいです。更新されるようなら無理せず頑張ってください。 (2020年12月4日 13時) (レス) id: 52bb9638d4 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 御津さん» お返事が遅くなりすみません!御津さん初めまして、ご感想とリクエスト、ありがとうございます。そろそろ1巻をキリよく終わらせるのに誰か居ないかなぁ…と迷っていたところでした是非瀬戸内にはトリを飾ってもらおうと思います!今後も完結までよろしくお願いします! (2020年2月3日 18時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
御津(プロフ) - すっごく面白いです!よろしければいつか瀬戸内(毛利と長曾我)も宜しくお願いします。更新お待ちしてます (2019年11月15日 17時) (レス) id: 672fceb52b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 旅人さん» 旅人さん初めまして、温かいお言葉ありがとうございます!お市様は私が薙刀時代しか詳しく知らないのもあって薙刀にしました笑今後とも頑張りますのでよろしくお願いします!(また、他に誰か呼んだら面白げな方とかいればお気軽にお教え下さい!) (2019年7月17日 7時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - コメ失礼します!主人公の周りが賑やかでとっても面白くて、あとその、お市様の薙刀時代(?)好きなのでめちゃんこ嬉しかったです…んんもう大好きです!これからも密かに応援させていただきます!無理のないよう、更新頑張ってください! (2019年7月16日 20時) (レス) id: e903332221 (このIDを非表示/違反報告)
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