三三 和解と配膳 ページ33
*
「……固まって、今度はどうした」
「──あっ、あぁ。いや。
ご飯をどうやってつごうかな、と。
一応付いてはいますし、添えるくらいなら問題ないのですが……指を動かしたりができなくて」
余程神妙な顔をしていたのか、自分の場所を指差しながら、眉を寄せやるゆえ不審だったと付け足すぎょーぶさん。
「……すみません。無意識です」
「………。
……よい、貸しやれ。われがやろ」
へ、といつの間にか下げがちになっていた視線が持ち上がる。目の前にはすいと差し出された両手。
そんな、お客さんに。
そう思ったがそもそも私以外に客しかいないこの家の中でご飯をつごうと思えば最早頼む他ない。
「すみません、お願いしてもいいですか？」
「───あぁ、任しやれ」
その間に私は他の皿くらい出しておこう、と台所へ向き直ると、ぬっと現れる大男。
「三成さん？ ……どうかしました？」
何か凄まじく難しい顔─歯を食いしばるかのような─をしながら私を見つめる彼。何かあったのか、と思わず私の肩にも力が入る。
すると後ろから気の抜けたような溜め息。
「やれ、三成。言葉にせねば伝わらぬぞ」
「ぐっ……刑部…………」
「ほれ、言いやれ」
心做しか笑ってる様にも見えるぎょーぶさん。
なんでこの距離の私には彼の言いたいことが伝わらず、少し離れた彼には伝わっているのか、もう私の理解の範疇は超えた。
そして彼がお茶碗を浮かせながら食卓に配膳していることに関してはもう不問である。
「っ、だから!!
俺が、手伝ってやると言ったんだ！
……っそれと、………先程はすまなかった。
言ってはいけない言葉を口にした」
……ほら、やっぱりいい人。
私が笑みを深める横でさくらさんがまだ少しぼやいているが、私がいいと言うのだからいいのだ。
「なっ、何を笑っている!!」
「いえ、優しい人なんだなぁと。
それじゃ、ありがたくお手伝いお願いします。
お皿とお箸の類をお願いしても？」
場所を指差しながらお願いすると、ふん、任せろと怒ってるのか何なのか分かりにくい顔をしながら私の持とうとした皿一式を全て持っていった。
「じゃあ、食べましょうか。
左近さんはどこに？」
「知らん、刑部」
「──猫と遊んでいやるわ。阿呆め」
あぁ、あさひか。見ないと思えば。
ーー
ぎょぶさんがちょいちょい不自然に間を取ってるのは色々考えてたからで、また折を見て本編で書きますね(佐和山と柴勝の強化オタク)
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さしみ(プロフ) - 初コメ失礼します！長らく更新させてないようですがとても面白かったです。いつか更新されるようならまた読みに来たいです。更新されるようなら無理せず頑張ってください。 (2020年12月4日 13時) (
レス) id: 52bb9638d4 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 御津さん» お返事が遅くなりすみません！御津さん初めまして、ご感想とリクエスト、ありがとうございます。そろそろ1巻をキリよく終わらせるのに誰か居ないかなぁ…と迷っていたところでした是非瀬戸内にはトリを飾ってもらおうと思います！今後も完結までよろしくお願いします！ (2020年2月3日 18時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
御津(プロフ) - すっごく面白いです！よろしければいつか瀬戸内(毛利と長曾我)も宜しくお願いします。更新お待ちしてます (2019年11月15日 17時) (レス) id: 672fceb52b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 旅人さん» 旅人さん初めまして、温かいお言葉ありがとうございます！お市様は私が薙刀時代しか詳しく知らないのもあって薙刀にしました笑今後とも頑張りますのでよろしくお願いします！（また、他に誰か呼んだら面白げな方とかいればお気軽にお教え下さい！） (2019年7月17日 7時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - コメ失礼します！主人公の周りが賑やかでとっても面白くて、あとその、お市様の薙刀時代(?)好きなのでめちゃんこ嬉しかったです…んんもう大好きです！これからも密かに応援させていただきます！無理のないよう、更新頑張ってください！ (2019年7月16日 20時) (レス) id: e903332221 (このIDを非表示/違反報告)
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