参壱 警戒と紙一重は興味 ページ31
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「……やれ、それは一体、どうした？」
「左近、そんなものを持って近付くな！
気味が悪い！」
「いや、そんな──」
「……確かに、あなた方の時代にこういったものはなかったんでしょうが──その言い方は些か傷つきますねぇ。ねぇ三成さん？
左近くん、でいいですかね?忘れ物ですよ。
私の腕は持って行って、肝心の着物を忘れていくなんて、凄いうっかりさん」
後ろから聞こえた声は先程階段で話した声と全く同じはずなのに、全く違うものに聞こえた。
それほどまでに、冷えきった声だった。
怖い、と素直にそう思った。
三成様が怒った時も、刑部さんが怒った時も怖いけど、それよりも怖い。半兵衛様くらい怖い。
そちらに目をやると、すいと着物が差し出される。赤、朱、紫とあるので俺らの鎧から判断したんだろう。さっと目を通しただけだが刑部さんが頭を覆ってるのも考慮してか、巾の類も少し多い。彼女なりの気遣いが容易に見て取れた。
「……あ、すいません、その」
ふと目を向けると、喉から息がひゅっと抜ける。
『…………呪って差し上げますわ』
長い髪をゆらゆらと揺らせ、こちらを睨みつけるさくらさん。元の見た目が見た目なのでただただ怖い。ちょっと三成様、見えてないかもしれないですけどもアンタ呪われかけてますよ、なんて言おうにも言えない。
「あーあーさくらさん怒らないで。怖すぎ。
昔にはないものだろうし、その辺はしょうがないでしょう。分かってるから大丈夫だよ。
まぁ、このままじゃ気になると思うんで……とりあえず腕、返してもらいますね」
俺の次に近くにいた刑部さんに着物の類を押し付け、俺の腕から腕が取られる。
一体どうなるんだと一種の好奇心と共に見守っていたら、肘の辺りにはめ込むように納まる。
そしてまるで初めからそこにあったかのように左手が復活した。彼女の肘付近が布で隠れているのもあって、全く遜色はない。
「……その腕、それで動くんすか？」
「いえ、流石に。はめただけなので」
純粋に仕組みが気になったので聞いてみると、どうやら未来といえどはめただけで動く訳ではないようだった。素直に仕組みを聞いてみると、ふんわりと教えてはくれた。
ただ、筋肉からでんき？ が出ている、とかでんきょく、とか分からない単語が多く。それを素直に言うとでしょうね、と笑われた。
「……まぁ、夕飯はもうできてるのでお二人は着替えてきてください。左近くんは申し訳ないんですけど布団をお願いします」
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さしみ(プロフ) - 初コメ失礼します！長らく更新させてないようですがとても面白かったです。いつか更新されるようならまた読みに来たいです。更新されるようなら無理せず頑張ってください。 (2020年12月4日 13時) (
レス) id: 52bb9638d4 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 御津さん» お返事が遅くなりすみません！御津さん初めまして、ご感想とリクエスト、ありがとうございます。そろそろ1巻をキリよく終わらせるのに誰か居ないかなぁ…と迷っていたところでした是非瀬戸内にはトリを飾ってもらおうと思います！今後も完結までよろしくお願いします！ (2020年2月3日 18時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
御津(プロフ) - すっごく面白いです！よろしければいつか瀬戸内(毛利と長曾我)も宜しくお願いします。更新お待ちしてます (2019年11月15日 17時) (レス) id: 672fceb52b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 旅人さん» 旅人さん初めまして、温かいお言葉ありがとうございます！お市様は私が薙刀時代しか詳しく知らないのもあって薙刀にしました笑今後とも頑張りますのでよろしくお願いします！（また、他に誰か呼んだら面白げな方とかいればお気軽にお教え下さい！） (2019年7月17日 7時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - コメ失礼します！主人公の周りが賑やかでとっても面白くて、あとその、お市様の薙刀時代(?)好きなのでめちゃんこ嬉しかったです…んんもう大好きです！これからも密かに応援させていただきます！無理のないよう、更新頑張ってください！ (2019年7月16日 20時) (レス) id: e903332221 (このIDを非表示/違反報告)
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