弐陸 丁か、半か。 ページ26
─
ぼんやりと、目を開けた。
そして、目に入った景色に少しの違和感。
と、ともに急に覚醒する意識。
……え、ここどこよ。
身を起こさない方がいい、と本能が告げている。
しかし現状を確認しないことには何も始まらない。例えば、ほら。目の前─天井─に見える、どこかの誰かの武器を彷彿とさせる輪っかとか。
身を起こすか、起こさないか。
なんだ、俺の大好きなものじゃないか。
迷いなく身を起こす。
『……あら、ようやくお目覚めかしら？』
起こして、声が聞こえた方に身構えながら目をやる。女性のもんだったので、とりあえず何も抜かずに。ただの警戒っつーことで。
目をやって、その全貌を確認して。
背筋が凍った瞬間、
目が合った。
「ぎゃあああああ出たぁああ!!」
脳が何を処理するよりも先に口から飛び出たのは情けない大声。だめだ、これは、ダメなヤツ。
斬るとか斬らないとかそういう問題じゃない。
そんな、腹から下がない、この世のものでもないものを斬れる訳がないじゃないか。
ふと、妖好きな友人が頭を掠め。
そこで改めて周囲を見渡す。
『ふぅん？ 貴方、私のことが見えるのねぇ』
訂正、極力
やっぱ、場所に見覚えはない。
でも何か、単に見た事がないんじゃなくて、そういうんじゃなくて。
『あら、無視かしら。失礼な殿方ね』
「ｯ、ひぎゃあああ無理っす助けて!!」
急にずいっと目の前に乗り出してくる幽霊さん。
無理、無理だって、無理だ俺、死んだわ。
「……やれ、喧しいぞ左近。静かにしやれ」
ふと、後ろから聞こえた馴染みのある声に淡い期待と安心感を抱き振り向く。
頼む、いてくれ。と、俺らしくもなく居るはずのない神に賭けて振り向くと、見慣れた2つの姿。
苛立ったように目を細める刑部さんと、三成様。
よかった、目覚めてなかったか。これでもし俺の悲鳴で起きようものなら、手酷く怒られただろう。
『へぇ、この方は見えてないのね。
それにしても、この大声で起きないって、彼は大丈夫なの？ 余程のズボラか、苦労人……どうも目の下の隈を見る限り後者のようね。
まぁ、このまま眠られても困るわ。
ごめんなさいね、強硬手段で』
幽霊さんが俺に断ってから、ふ、と彼の体に触れた。まぁ勿論通り抜けるわけなんだけど。
「ｯ!?」
ガバッ！と勢いよく、三成様は身を起こした。
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さしみ(プロフ) - 初コメ失礼します！長らく更新させてないようですがとても面白かったです。いつか更新されるようならまた読みに来たいです。更新されるようなら無理せず頑張ってください。 (2020年12月4日 13時) (
レス) id: 52bb9638d4 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 御津さん» お返事が遅くなりすみません！御津さん初めまして、ご感想とリクエスト、ありがとうございます。そろそろ1巻をキリよく終わらせるのに誰か居ないかなぁ…と迷っていたところでした是非瀬戸内にはトリを飾ってもらおうと思います！今後も完結までよろしくお願いします！ (2020年2月3日 18時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
御津(プロフ) - すっごく面白いです！よろしければいつか瀬戸内(毛利と長曾我)も宜しくお願いします。更新お待ちしてます (2019年11月15日 17時) (レス) id: 672fceb52b (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 旅人さん» 旅人さん初めまして、温かいお言葉ありがとうございます！お市様は私が薙刀時代しか詳しく知らないのもあって薙刀にしました笑今後とも頑張りますのでよろしくお願いします！（また、他に誰か呼んだら面白げな方とかいればお気軽にお教え下さい！） (2019年7月17日 7時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - コメ失礼します！主人公の周りが賑やかでとっても面白くて、あとその、お市様の薙刀時代(?)好きなのでめちゃんこ嬉しかったです…んんもう大好きです！これからも密かに応援させていただきます！無理のないよう、更新頑張ってください！ (2019年7月16日 20時) (レス) id: e903332221 (このIDを非表示/違反報告)
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