おひる ページ3
慣れない環境で授業を受け終え、既に疲労MAXな私。
トイレから出てみると、人の出が騒がしく、どうやらお昼休みのようで、私は弁当をひっつかむと一縷の望みをかけて屋上に向かう。
階段登るのは辛いけど、開放感が欲しいんだ!
重たい扉に鍵がかかってないことを悟り、嬉々としてドアを開けた。
「おぉ…」
「む!」
屋上に出てみると、真田さんが他数名とご飯を食べてた。
まじかよ!人が居てもせめて知らない顔が良かった!
進むかどうか迷っていると、後ろからドンッとぶつかられる。
私がヤンキーだったらキレてるけど、そうっと振り返った。
「Ah?転校生じゃねぇか」
「伊達さん!」
Sorryと言いながら、伊達さんは私だと確認すると鼻で笑った。
なんか中々によくわかんねーひとだよね、このひと。
そんなことを思っていたら、彼のすぐ後ろに居るオールバックの男の人がギロっと私を睨んだ。
何回だって言うけど、私がヤンキーだったらキレてる。
「あんたが噂の転校生のA?」
「うぇっ?」
「政宗様より話は聞いている」
真田さんと一緒に居たヘアバンドマンがいつの間にか声をかけてきて、便乗したのかオールバックマンも声を発した。
案外穏やかな物腰だけど、どこか品定めするような視線で少しイヤな感じ。
「そうです!遅れて来た新入生と思ってください!お二人のお名前は?」
「片倉小十郎だ」
「俺様は猿飛佐助。一応どっちも2年だけど、好きに呼んでよ」
「わ!先輩だったんですね、すんません!」
オールバックマンが片倉先輩、ヘアバンドマンが猿飛先輩らしい。
よろしくと頭を下げると、私はいそいそと弁当袋を広げる。
挨拶でご飯タイムを減らすのはゴメンだもん!
なんだかんだ五人で食べることになり、各々食べ物を口に運ぶ。
不思議と沈黙は辛くない。
「それより、貴殿は何故ここに?」
「アンタに興味ある奴は教室に居るはずだぜ」
「それはここに居ちゃダメってことですか?」
ちょっとムッとして、語尾が強くなる。
もしかして、遠回しに拒絶されてる?
二人とも全然名前呼んでくれないし…。
私の物言いか、それとも二人の態度か、それは分からないけど、先輩二人は顔を顰めていた。
「いえ、そういう訳では!ただ、貴殿と話したい者たちが居ります故…」
「あ〜…さすがにちょっと疲れちゃって…」
手振り身振りで否定する真田さんに、私は苦笑した。
話しかけてくれるのは嬉しいけど、私にだって気分ってものがあるんだ。
人間だもの!
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:cocoa | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/mosako
作成日時:2022年2月22日 22時