25話 ページ25
「はぁ〜疲れた。やっぱりここの首領は威圧感みたいなのが凄いわねぇ、色々見透かされそうだわ。見透かされて困るものもないんだけどね」
流石ポートマフィアの首領と言うべきか。
やはり首領には首領たる何かがあるのだろう。
首領自らに頂いた、革の手袋を身につける。
「あらサイズぴったり、特注かしら」
さっきから男は一言も喋らない。
私も別に返事を求めている訳では無いので、そのまま独り言として喋り続ける。
・・・・もしかして、組織に入ったばかりの下級構成員に幹部様が返事なんざするかという当てつけだろうか。
まぁ、そんな訳がないことは分かっているのだが。
「早く美味しいお酒が飲みたいわ」
ぶっちゃけ、お酒ならなんでもいいのだけど。
男の作る料理と、ワインはそれはそれはよく合うものだから・・・・なんてもうそんな時間は来ないのかもしれない。
「喜んでくれると、思ったの」
そう言えば、男はようやく口を開いた。
「喜ぶって、俺がか?」
「えぇ、だってこれでやっと私達・・・・」
お互いの名前を呼べるのだ。
でも、どうやら彼は喜んでくれないらしい。
「私達が、なんだよ」
「なんでもないわ、私が希望を持ちすぎてたのね」
「どういう意味だ」
同じ気持ちだと、思い込んでいた。
なのに男が私の名前を呼んでくれることは一向に無かった。
それは確かに、私も1度だって名前を呼んでいないし名乗ってもいないけれど。
「この手袋、貴方とおそろいね」
「おい、話を逸らしてンじゃ」
「こんな事だけで、こんなにも幸せなの」
これ以上は望まないわ。
わがままにはなりたくないの。
貴方と私が同じ世界で生きているのだから、それだけで充分幸せなのだから。
「それよりも私、貴方と相棒ですって。幹部の相棒なんていきなり大出世ね」
「・・・・・・立場は下級構成員だろ」
「いいのよ、高いお酒は貴方が奢ってくれるんでしょう?」
「あぁ?なンでそうなんだよ!!」
ああ、そう。それでこそいつもの貴方よ、と言って笑えば男は悔しそうに顔を顰めその後に
くしゃりと笑顔を作った。
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柚子豆腐(プロフ) - 天草嶋さん» コメントありがとうございます!最終話までお付き合いいただき本当に嬉しいです。番外編は書くか分かりませんが中也の話はまた書きたいと思ってますので今作以上にかっこいい中也をお届けできればと思います!新作もどうかよろしくお願いします。 (2019年8月6日 3時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
天草嶋(プロフ) - 最終話が拝めて本当に満足です。今まで私が見たどの夢小説の中でも一番理想の中也像が描かれていて本当に大好きな作品でした。終わってしまったのは少し寂しいですが、また何か番外編などあれば是非読みたいです。新作も楽しみにしています!お疲れ様でした! (2019年8月5日 19時) (レス) id: be6bb92be5 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 謝花さん» コメントありがとうございます!こちらこそまじ感謝です!これからも頑張ります! (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 桜咲月菜さん» コメントありがとうございます!読んで下さっている読者様の方こそが神様でございます…でも、嬉しいです…… (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
謝花 - 尊…い…まじ感謝です (2019年7月19日 14時) (レス) id: cfb76e4621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子豆腐 | 作成日時:2019年5月14日 5時