一人じゃない ページ25
『・・・イズミ』
声が聞こえた気がした
だけどそんなはずはないと頭を振る
あの子はここには来れない、来れないはずだ・・・
きっと、空耳だろう
そう思っていた
しかし、その声をきっかけに自分を罵倒する声が止んだ
だが彼女の声は何度も聞こえてくる
『無視してるの、イズミ。それとも聞こえていないのかな?』
聞こえないわけない、この声を聞き違えるなんてありえない
でも、やっぱり受け入れられなくて
『イズミ・・・』
後ろから手を握られた
温かくて、俺より少し小さい手
振りむくと、そこにはやはりあの子がいた
すごく悲しそうな顔をして、目に涙を浮かべて
自分を見上げている
『行こう、イズミ・・・皆が待ってるよ』
彼女に手を引かれて闇の中を走って行く
徐々に闇が晴れていき
周りには見たことのない一面の草はらが広がっていた
相変わらず彼女は手を握ったままだ
「A、俺・・・」
『?・・・どうしたの、イズミ』
「俺、あんたの傍にいてもいいのかな?」
ぼそりと小さく聞くと、彼女はきょとんと眼を丸くした
『何言ってるの?元々、イズミが私を傍に置いてくれたんじゃない。イズミが望む限り、私はずっとあそこにいるよ』
指を指したその先には自分の神社が・・・
そして、そこにはあいつらの姿が
「セナ」
「イズミちゃん」
「セッちゃん」
「イズミさん」
自分を呼ぶ声がする
もう、一人じゃない・・・
一人じゃないんだ・・・
温かい滴が頬を伝う
・・・もう大丈夫、もう迷わないよ
さっきまで胸の中に巣食っていた黒い感情は消え失せ、解放感を感じた
『向こうで待ってるから、早く戻ってきてね』
言われなくてもすぐ戻るよ
あんたたちが待つ俺の居場所に・・・
気付けば、隣に彼女はいなくなっていた
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御霊t(プロフ) - 花鈴さん» お気づかい、コメントありがとうございます。楽しく読んでくださり作者としては嬉しい限りです。私としては冬は好きなのですが、寒さには弱く家に引きこもる日々が続いています。ですが、できる範囲で頑張りますので、これからも応援よろしくおねがいします (2019年2月10日 22時) (レス) id: 84fe06f180 (このIDを非表示/違反報告)
花鈴 - 初めてコメントさせていただきます。いつも楽しく読ませて頂いております!持病をお持ちなのですね。まだまだ寒い日が続きますしどうぞご自愛ください。これからも応援しています。 (2019年2月10日 20時) (レス) id: 0fa2481ff6 (このIDを非表示/違反報告)
御霊t(プロフ) - 萩さん» コメントありがとうございます。受験生なのですね、私の方こそ応援しています。勉強、頑張ってください。また、この小説を息抜きに読んでくださりとても嬉しいです。体の負担にならない程度にこれから更新頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願いいたします (2019年2月9日 22時) (レス) id: 84fe06f180 (このIDを非表示/違反報告)
萩 - ひぇぇぇぇ...持病をお持ちだったんですね... 私は受験生ですが、この小説をよく息抜きに読みます。 作者さんの辛さは、私の比ではないかも知れません。無理をしない程度に、頑張って下さいね。応援しています。し続けます! (2019年2月9日 22時) (レス) id: 94abb9a787 (このIDを非表示/違反報告)
御霊t(プロフ) - あきなさん» ありがとうございます。温かいコメントに感謝します。語彙力が乏しくうまく物語を伝えられているか、更新するたびに不安になりますがこのようなコメントをいただいてとてもほっとしています。これからも自分のペースで頑張っていきたいと思います (2019年2月9日 21時) (レス) id: 84fe06f180 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御霊t | 作成日時:2018年12月15日 14時