反社会的ユメノクニ。| Ryosuke.Y (ページ37)

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一度貼られた罪人のレッテルが簡単に剥がれ
ることはない。それがヒトの道理であり、世
の中の秩序はそうして守られてきたのだから。

表の人間たちを嘲笑うことで優越感に浸って
いたわたしたちだったけれど、

本当は……
憧れてただけなのかもしれない。

正当に幸せを求める権利のある彼らが

羨ましかっただけなのかもしれない。

＊＊＊

闇の空気を吸った反社会的な人間を"彼ら"
は拒んだ。

その日は一睡もせず、
ただひたすら蝉の帰りを待ち続けた。
東の空が薄い紅色に色づきはじめてもひたす
ら彼を待ち続けた。

けれど…

外階段で靴音が鳴ることも
玄関のドアが開くことも
"ただいま"の声が聞こえることも

…

なかった。

＊＊＊

二日前＿＿＿

「万が一何かあったら…わたし……」

蝉「まさか俺が死んだらって言いたいけ？
そんなことあるわけねーだろか。バーカバーカ」

不安を吐露するわたしに覆いかぶさると、
首すじが音を立てて強く吸われて。

蝉「一生離れないって、約束しよう」

残された赤い印に

「…………うん。ずっと…、傍にいる」

誓いの手を添えた。

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