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翌日___
前日から気温が10℃も下がった
氷点下の夜
一年前のあの日のように
小雨が雪に変わろうとしている夜だった。
左ポケットに押し込まれたレインコート。
それは雨のためでも雪除けのためでもない。
返り血からーーーー身を守るため。
右ポケットから取り出された
バタフライナイフ。
感覚を確かめるように拳をくるりと返すと、
無機質な金属音がカチャリと鳴った。
***
不器用に頬に添えられた手の温もりに幸せ
を願った一年前が、遠い昔のことのように
思えた。
己のプライドを捨て
幸せのために歩みだ 出した彼。
そんな彼に後ろを振り向かせてしまったのは
皮肉にも共に道を歩んでいくはずだった……
他でもない
自分だった。
***
蝉「………いってきます」
漆黒の瞳が身軽な装いのまま扉を開く。
いつもと違う "いってきます"を無言で見送る
ことしかできないわたしは
カツッ…
外階段に差しかかったところで振り返り、
微笑んだ "蝉"に
「りょ………」
グレーのパーカーにリュックを背負った
"涼介"の姿を思い重ねた。
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作者名:知夏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/972e809caf1/
作成日時:2016年3月18日 23時