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「はぁ……っはぁ…」
ゴミ箱に捨てられていた"シゴト"の場所が書
かれたメモを握りながら、わたしは闇雲に彼
を捜しつづけた。
「………」
争ったであろう痕跡の前に佇むわたし。
裏の人間の亡骸がその姿を残すことはなかった。
おびただしい量の血が雪解けのアスファルト
を褐色に染めている。
涙なんてとっくに枯れ果てていた。
"会えるかもしれない"
そんな非現実的な願いを乞う気もなかった。
チャリッ…
彼がここで息絶えたことを確信に変えるそれ
を拾い上げながら回顧した半年前…
***
「ねぇ見て。合鍵作ってきちゃった」
蝉「んなもんいらねぇよ。ドアなんて開けっ
ぱなしにしとけばいいだろ」
「これからはどっちが早く帰ってくるかわか
らないでしょ? それに…わたしが誰かに襲わ
れたらどうする?」
その言葉に目をつり上げた彼は
吐き捨てるように言った。
蝉「………ぶっ…殺す」
「ふふ、あんたがいうとシャレになんない」
蝉「ってか苺のキーホルダーって何だよ」
「ダメ?好きでしょ?イチゴ」
***
あの時…
恥ずかしがる彼に無理やり握らせたのがこの
キーホルダーだった。
血だまりの中から拾い上げたそれ。
鍵は付いていなかった。
"俺が殺られるわけない"
大口叩いてたくせに、
鍵はベッドサイドにスマホと一緒にきれいに
並べられていた。
わたしの存在につながるような物は全て家に
遺していった彼。
____"万が一" に備えて
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作者名:知夏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/972e809caf1/
作成日時:2016年3月18日 23時