No.124 ページ25
瓦礫に躓きながらも辿り着いたのは瓦礫の下敷きになっている小さな手や足
確かに一人ではなさそうだ
瓦礫を一個一個ではあるが退かしていく
時々見える瓦礫の角には赤黒く血が滲んでいた
下の方に足が三つ見えるからきっとそれだろう
大きめの瓦礫を再び退かしていく
何で僕が持った異能力は念力とかではないんだろう
瓦礫を取り除いていくと小さな体が見つかる
ずっとその場でわなわなしていた男の子も歓喜に瞳が揺らいだ
瓦礫から出てきた体は傷だらけで、服にも少し血が滲んでいた
「はるちゃん…?はるちゃんだ!ひろくんもいる!」
「ゆうくん…?
良かったぁ…生きてたよぉ」
ひろくん、はるちゃん…そう呼ばれた子は確かに駄菓子屋で見た子達
安堵の感情が流れてくるのは何故だろうか
しかし、ひろくんと呼ばれた子に意識があるのだからありがたい
顔が涙でぐしゃぐしゃになってしまっている二人を瓦礫から降ろす
不安定なここにずっと居座って怪我をされれば僕の疲労も全て水の泡だ
「にしても…お兄さんすごいね、ありがと」
「はるちゃんも起きるかな…?」
「まだお礼は言わなくていいよ、僕がその傷どうにかしてあげるから
それに、その子、意識ないんだよ?」
ひろくんと呼ばれた男の子とは、格段に血の量が多いはるちゃんと呼ばれた女の子
きっと庇ったからなんだろう
しかし、そんなものが小さな体で耐えられるはずがない
現に今、意識を失っているのだから
小さく白い肌には所々ではあるが硝子が痛々しく刺さっていた
しかし、いくら子供とは言え三人だ
仕方なく一人を背負い、もう一人を肩に乗せて肩車
最後の一人を抱える
「ひろくんだっけ?背中から落ちないでよ
ゆうくんも一緒ね、肩から落ちないで」
「はーい」と声を揃えて言う彼らを他所に、瓦礫の地面を強く蹴る
流れる視界に映るのはいくら進んでも焼け野原だ
医療部隊の所に行けばなんとかなるだろう
戦闘員の僕は治療の知識なんか微塵もないのだから
「あ、見えてきたよ」
「す、すごい…!」
「お兄さん…血、怖くないの?」
ひろくんに言われた質問には怖くないよと返す
走っている最中に大人を駆除したが、それを目の前で見せるのはまずかったのだろうか
「悪いけど、追加の治療お願いしまーす」
「了解」
「都甲、その軍服どうしたんだ?」
政府の人間である軍隊
大人を嫌う僕らが嫌わないはずがなく、嫌そうに顔を歪めて聞かれる
「拾っただけだよ〜ずっと半袖だと寒かったしね」
そう笑って見せた
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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした!あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…!本当にありがとうございました!! (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました!主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした!剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした! (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)
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