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昏酔 ページ45

「行こう、今からなら間に合う」

わたし達は足早に其の部屋を後にした。

太宰は鍵を持っていなかったがポケットから取り出したヘアピンで容易く扉を開けてしまった。

そこは地下で階段を登るとこの間のバーがあった。

そこも出て軽く走って通りに出ると、可愛らしい軽自動車がすぐ脇に付けた。

太宰が乗り込んだのでわたしも続く。

太陽は東。南中高度は低め。

早朝、快晴の朝である。

「宜しく」

太宰が運転手に声を掛けた。

わたしも「お願いします」と頭を下げる。

「はぁい!飛ばすね」

ミラー越しにウィンクを決めたのは

「パンダさん!」

パンダさんはにゃぁと笑うと、音楽の音量を最大限に上げアクセルを踏みつけた。

「「ヒャッホーイ」」

太宰とパンダさんが叫ぶ。

もう降りたい。

ーー
「着いたよ〜お疲れー」

一足先に降りたパンダさんはわたしの座っている所の横のドアを開けた。

「もう…無理……」

「何を云っているのさAちゃん!未だ着いたばかりだよ!」

太宰とパンダさんは相当元気で、太宰に至ってはあの地下室から出てきた時より元気だ。

「はあぁAちゃんは車に酔った程度で中也を諦めるんだ。帰る?」

これを車酔いだと思うのか。
酒で例えれば昏酔状態。ぶっ倒れそうだ。

しかし

「そ、んな訳ないじゃないですか…行きましょー中也君を扶けに」

決意は固いのである。

そして両肩を支えられながら着いた先は、

「こっこここ、ここは!?」

大きな祝宴場であった。

「此の中では非合法組織の広報や幹部を中心に祝宴が行われている。まァ祝宴何て唯の名目で…」

「名目で…?」

「横行しているのは敵幹部の懐に入り込んだり、酔った所で情報を喋らせたり、
簡単に云うと一攫千金を狙えるチャンスだと云う訳だ」

「な、成程。そしてこの中に中也君が?」

「嗚呼、首領も莫迦だ。私は無職でね、適当にふらついてたらうっかり耳にして仕舞ったのだよ。『祝宴で中也を殺す』ってね。何処で中也が酒に弱いって云う情報を手に入れたのか…いやはや」

そう云って太宰は頭を抱えた。

この感じは最早

太宰が敵組織の処へふら〜と行って『中也お酒弱いよ〜』と情報を流して
『殺すなら此処しか無いよ〜』と云ってわたしに
『中也死んじゃうよ〜扶けよ〜』って?


どんな冗談だ。

何か裏があるのだろうか。

裏がありそうな太宰。死んだ筈が現れたパンダさん。

二人とも、警戒し続けねばならない。

そう決めた。

「わたしは如何すれば?」

祝宴場へ→←ファイナルゲーム結



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設定タグ:文スト , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:恋愛
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時

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