友達 ページ3
「ナオミィィ」
「A!如何たの?」
「中也君に!会った」
中也から逃げ帰って来たわたしは、友達のナオミに泣き付いていた。
ナオミとは中学の後輩だ。ひょんな事から仲良くなり、其れからの付き合いは今も健在である。
「良かったじゃないの」
「忘れられてた…ヒック」
嗚咽だかしゃっくりだか分からない音が漏れたがスルー。
其れ所じゃないのだ。
「あらら。其れはいけませんね」
「如何しよう…」
わたしがずっと覚えていたからって、相手も覚えている訳無いのだ。
なのにわたしはわたしが忘れなかったって、其れ丈で中也も覚えていてくれてるって勘違いしてた。
そんな事、有るわけ無いのに──
「アタックですわ」
「アタック…?」
「ええ、思い出させるか…新しい関係を作るか…二つに一つですわ」
「と云うと?」
恋愛に関しては、ナオミ以上に頼りになる人を、わたしは知らない。
「先ずは、昔の様に接していくべきです」
「昔、みたく接する」
わたしが呟くと、ナオミは満足そうに頷いて、話を続けた。
「そう。その内に、中也様が思い出す事がベストですわ。
しかし、中也様に思い出す様子が無いようでしたら…」
ナオミの話の上手さも手伝って、わたしはナオミの話を食い気味で聞いていた。
「過去の話をします」
「な、何で?」
「前にAが話してくれた御涙頂戴のエピソオドを彼にすれば、
其れを忘れていたと云う事実を突き付ければ
中也様は、きっと弱ります。
其のまま上目遣いで押し込めば、コロッと…」
ナオミは自身の指をペロッと嘗めた。
艶かしい手付きだった。
詰まり、ナオミが云いたい事は
1、昔の話をしろ
2、忘れていた事に責任を感じさせて
3、弱らせろ
4、上目遣いで中也を落とせ!
まぁ、大方こうだろう。
結論から云おう。
「ナオミ…有り難う!!」
わたしは行けると思ったのだ。
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時