検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:59,665 hit

第73話 ページ28

現在、時刻は17時。
キメツ神社では今年一の賑わいをみせていた。


そこに一人佇む、この世のものとは思えないほどの浴衣の美形男子。
そう、嘴平伊之助である。

彼は今、とある人物を待っていた。


周囲にいる女性たちが、彼のあまりの美しさに見とれる。
誰が声を掛けようか、そもそも誰を待っているのかなど、彼の話題で持ちきりになっていた。


―その時だった。


「伊之助ー!!」

「!」


聞きなれた声に呼ばれ、顔をあげる。

カランコロンと心地の良い音を立てながら、彼の待ち人であるAAが走っていた。



「ご、ごめん遅くなって…初めて来るところだから迷っちゃって…
て、伊之助?」

「…。」


Aが顔を上げると、彼は彼女を見たまま呆然としていた。

それもそのはず、今日のAは、周囲の女が「あれには敵わない」と立ち去ってしまうほど美しかった。


紺の生地に、白と黄色で描かれた大きなひまわりが咲いている美しい浴衣を身に纏い、
いつもは無造作に下ろされている髪の毛はアップスタイルに。


普段はしていない化粧も、今日はナチュラルめに施されていた。
赤い口紅が、より一層映える。



昔、あの桜の木の下で見たAと同じだ。

…いや、それ以上に、



「…キレーだ」

「は」


思わず伊之助の口から言葉が零れた。
それを聞いて、今度はAがぽかんと呆けた。


そしてすぐに、顔が赤くなる。


「…や、やめてよ」

「!」


照れている彼女を見て、伊之助も顔に熱が集まる。


「(なんだ、コレ)」



あの時のホワホワとは違う。

己の心臓が、Aに聞こえてしまうのではないかというほどバクバクと脈打っていた。



「…伊之助も、浴衣すごい似合ってるね」

「あ?!…あぁ、ババアが着てけってな」

「そうだったんだ」



ババアとは、伊之助の里親のことである。

大事にされているような様子に、Aは優しい気持ちになった。



「よし!さっそく突撃しようぜ!猪突猛進!!」

「ちょ、待ってよ伊之助!!」



祭りの活気とAへの胸の高まりにあてられ、
気持ちが昂る伊之助は出店に向かって走り出す。


突然走り出した彼を見失わないよう、Aも走りだした。




.

第74話→←第72話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
165人がお気に入り
設定タグ:嘴平伊之助 , 竈門炭治郎 , 我妻善逸   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まこ(プロフ) - なるとさん» なるとさん初めまして!コメントありがとうございます(^^) いつも見ていただきありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。 更新頑張りますので、ぜひこれからも見ていただけると嬉しいです!よろしくお願いします(o^^o) (2020年3月16日 10時) (レス) id: 5468609aea (このIDを非表示/違反報告)
なると - こんにちは。いつも楽しく拝見させていただいてます!がんばってね。 (2020年3月13日 21時) (レス) id: 3ad2e3812e (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - きなぽさん» きなぽさん初めまして!あああそう言っていただけてとても嬉しいです励みになります…!( ; ; ) ぜひこれからもよろしくお願いいたします(^ ^) (2020年2月7日 10時) (レス) id: 5468609aea (このIDを非表示/違反報告)
きなぽ - 素敵な小説に心が暖かくなりました! (2020年2月5日 12時) (レス) id: 8433dfe4be (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - ZERO-naさん» ZERO-naさん初めまして!確認しましたところ番号がごっちゃになっていました…教えていただきありがとうございます(^^)/ 流れは変わりませんので、ご安心ください!楽しんでいただけてとても嬉しいです!ぜひこれからも読んでいただけますと幸いです(^^♪ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 274878ae19 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まこ | 作成日時:2020年1月8日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。