嘴平くんに好かれない２【鬼滅の刃】【キメツ学園】

第65話 ページ20

善逸と別れた炭治郎は、ようやく教室に戻ってきた。


随分長い時間休んでしまったから、しっかり働かないと…と、自分が分担されていた飾り付け班に戻る。


持ち場に入ると、すぐに炭治郎と同じ班の女子が話しかけてきた。



「あの、竈門くん…嘴平くんが…」

「え？……うわっ！」



女子が言った方向を見ると、そこには机の下でうずくまっている伊之助がいた。



「い、伊之助！どうしたんだ！」

「…ゴメンネ、ウットウシクテ」

「何を…何があったんだ！」



他の生徒曰く、どうやらいきなり教室を飛び出し、すぐ戻ってきたかと思えばずっとこの様子らしい。



「何か悲しいことがあったのか？」

「Aガ…」

「A？」

「Aニ…オトコガデキタ…」

「は！？」



衝撃の言葉に、炭治郎から驚きの声が飛び出る。


そんな筈がない。

Aから彼氏ができたなんて話は聞いたことがないし、そもそもさっきまで伊之助のことで悩んでいたんだ。


そうなると恐らく、伊之助を退けるための嘘だろう。



「ま、まあ伊之助…」

「Aニ…オトコ…」



立ち直る様子のない伊之助に、炭治郎は困り果てる。

…が、そこでふと疑問に思う。



A曰く、伊之助には好きな子がいるとの話だったが…

ならどうして、Aが付き合ったという話を聞いて、こんなにも落ち込んでいるのだろう。



元来伊之助は独占欲が強い方ではあるが、だからといって…ここまで…？


これは、直接聞くしかない。




「なあ、伊之助」

「ナアニ」

「伊之助は、Aのことをどう思っているんだ？」



問い掛けると、伊之助は不思議そうな顔をした。



「ドウッテ」

「いや、その…好きなのか？
…あ！子分としてじゃなく、1人の女性としてだ！」

「？」



炭治郎の言葉に、伊之助は考える。


1人の女？それってどういう意味だ？

いわゆる"恋"っつーやつか？


Aは特別な女だ、だって、あいつのーー


だが、俺が好きになったのはーー…



「いや…ちげぇな」

「…そうか」



伊之助のハッキリとした言葉に、炭治郎は落胆した。
まさか本当にAじゃないなんて。


ならどうしてそんなに落ち込んでいるんだと、問い詰めようと炭治郎が口を開いた…


その時だった。




「2人とも何してんの？」

「！！」

「A…」




後ろからヒョイと顔を覗かせた人物、
現在話題にあがっていた、A本人であった。





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