第60話:避ける編 ページ15
伊之助は近頃、とても上機嫌だ。
「アアア!!」
急に雄叫び上げる伊之助。
周囲にいた人々が彼に変なものを見るかのような目を向けるが、彼にはどうでもよかった。
「フフフ…海のあいつ!凄まじかったな!可愛気あんじゃねぇか!」
そう、海でのAの影響である。
「しかも乳デカかったしな!
―おっと、これを言ったら怒られるんだったな…」
それにしても、と伊之助は考える。
海のときにAが浮かべてた表情…
思い出しただけで、自分の心臓は高鳴り、体温は上がる。
昔のAにも感じたことのなかった症状に、伊之助は「うおおお!」と叫んだ。
「すげえ…すげえぜ!昔はホワホワが半端なかったが…今のアイツはなんだ!なんだか体が熱ィ!強くなったみたいだ!!」
ヒャッハーと伊之助は飛び回る。
あまりの奇行に、伊之助の周囲にはもはや人がいなかった。
「にしても、あいつも変わったよな」
あのAと、今のA。
自分が知っているAは、静かであまり表情を露わにしない女だったが…
今のAはその真逆で、笑うわキレるわで忙しい女だ。
これが、アイツが求めていた"普通の女"なのか?
なら、今それが叶ってるってことか?
―伊之助は、さらに気持ちが昂った。
「早く会いてえ!!」
今日は久しぶりの登校日だ。
ようやくAに会える。
伊之助は高まる気持ちを抑え、学校に向かって駆け出した。
―程なくして、学校に到着。
しかも、昇降口にはお目当ての生徒が。
Aだ!
「A!」
彼女を呼ぶ。
Aは一瞬肩を震わせると、ゆっくりと振り向いた。
伊之助は、そこで違和感を覚えた。
「おはよう」
彼女はそれだけ告げ、足早に教室へ向かう。
どこか、雰囲気が違う。
「なんだ…?」
違和感を覚えたが、たまたま機嫌が悪かったのだろうと、それからもAに絡む。
しかし何故かAは、
自分を相手にしてくれなかった。
きっと今日は1日機嫌が悪いんだと伊之助は考え、
それからも休日はAの家を訪ねたり、登校日にはいつもの如く絡みに行った。
しかし、家に行ってもAは留守。
登校日にも必要最低限の会話しかできなかった。
「なんだ…俺が何をしたんだ…!?」
幸福から一変。
伊之助には、不幸が到来した。
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まこ(プロフ) - なるとさん» なるとさん初めまして!コメントありがとうございます(^^) いつも見ていただきありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。 更新頑張りますので、ぜひこれからも見ていただけると嬉しいです!よろしくお願いします(o^^o) (2020年3月16日 10時) (レス) id: 5468609aea (このIDを非表示/違反報告)
なると - こんにちは。いつも楽しく拝見させていただいてます!がんばってね。 (2020年3月13日 21時) (レス) id: 3ad2e3812e (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - きなぽさん» きなぽさん初めまして!あああそう言っていただけてとても嬉しいです励みになります…!( ; ; ) ぜひこれからもよろしくお願いいたします(^ ^) (2020年2月7日 10時) (レス) id: 5468609aea (このIDを非表示/違反報告)
きなぽ - 素敵な小説に心が暖かくなりました! (2020年2月5日 12時) (レス) id: 8433dfe4be (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - ZERO-naさん» ZERO-naさん初めまして!確認しましたところ番号がごっちゃになっていました…教えていただきありがとうございます(^^)/ 流れは変わりませんので、ご安心ください!楽しんでいただけてとても嬉しいです!ぜひこれからも読んでいただけますと幸いです(^^♪ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 274878ae19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まこ | 作成日時:2020年1月8日 13時