看板娘40 ページ41
「おねーさんなんか用?じっと見てきて」
「えっ、や、その、」
一護の妹がたたたっと駆け寄ってきて、思わず口ごもる。大きい瞳はじっと私を捉えて離さない。
「……おねーさんコイツ見えてるでしょ。視線がずっとコイツだよ」
後ろの霊を指さして言う一護妹。霊も驚いたように私と彼女を交互に見る。マズイな、怪しまれてる今は、一護の身内との交流もキケンだ。
「……何の話かな。そこでサッカーしてたのが楽しそうでつい見てただけだよ」
「…ふーん。そっか、じゃあなんでもないや。おねーさん名前は?」
信じたのかはたまたどうでもいいのか、あっさり引く彼女。多分後者だろうな。名前くらいなら構わないだろうと、なんともなしに答える。
「…Aだよ。君は?」
「あたし、黒崎夏梨。またね、Aさん」
歯を見せて笑うと、また走って友人たちのところに戻っていく夏梨。ジン太と息が合いそうな人だ。すぐ喧嘩してしまいそうだが。あの歳であれだけ見えてるのも考えものだな……一護が死神化した今、多分もう近いうちに虚も見えるようになってしまうだろう。
(あんないい子を苦しめるなよ、一護)
……なんだかジン太やウルルに会いたい。もう30分は経ったし、そろそろ戻ろうかな。帰る頃には日が沈みかけてるだろう。夏梨に憑いてる霊も、あの程度なら一護が魂葬するだろうと思ってくるりと来た道を戻って商店へと帰った。
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作者名:名無し | 作成日時:2022年2月21日 5時