看板娘35 ページ36
「で、で!友達になったところでさ、どうなの!?好きな人!」
マハナがまた、先刻の話題を持ち直す。それ、まだ引きずる気なのか…!またさっきの羞恥が思い返されて、顔の熱が上がる。
「すっ、す、好きとかじゃない!その………あ、憧れに近い人なら…」
言葉を絞り出すと、みんながきゃあっと可愛らしい声で叫ぶ。色恋沙汰には免疫がない私はただ、気圧されながら質問に答えるしかできない。
「えーー!だれだれ?この学校?憧れなら年上の人とか?」
「…学校にはいない。私より少し年上の、男の人だ。」
「じゃあじゃあ、なんで出会ったの?いつから好きになった?」
う、うう……苦手だ、こういう話題。出会いとか、いつからなんて言われても……
「出会ったのは、……もうずっと昔の頃。何時からかは解らない、っと言うかそもそも好きなんかじゃ…!」
耐えきれず俯くと、千鶴がわなわなと震えて叫ぶ。
「………かっわいい!!Aってばカワイイわ!!好きかどうかわかんない男よりどう!?あたしがアンタとヒメまとめて、コッチの世界教えてあ・げ・る♡」
「やめんかァ!!あんたの頭はそればっかか!」
私の手を勢いよく握った千鶴をたつきが蹴り飛ばして、千鶴が地面に沈む。ナイスツッコミ…と呻く千鶴に今のは蹴りだっ!と叫ぶたつき。個性の勢いに圧倒されていると、たつきが振り向いて私に向き直る。
「急にゴメンね、千鶴もあんなんだけど悪いやつじゃないの。ヤバイことされたらあたしに言いな」
織姫もね、と言い残してまた千鶴の方へ向かうたつき。
「…頼りになるんだな、たつきは。」
「えへへ、そうなの。たつきちゃんってすごいんだよ」
嬉しそうに笑う織姫に、私も顔を綻ばせた。
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作者名:名無し | 作成日時:2022年2月21日 5時