看板娘31 ページ32
「…それで、私に何の用だ?こんなとこまで来て」
人気のない階段。言われた通り適当に座り込んで、朽木さんに言う。横に座った一護も怪訝そうに朽木さんを見ているところから、何も聞かされていないんだろう。
「きさ…浦原さんは、浦原商店をご存知ですこと?」
「…?」
一護が頭に?を浮かべている。一護と浦原さんはまだ意識のある状態で会ったことないもんな。ていうか今貴様って言おうとしたなこの人。
「…知ってるよ。それが何か?」
「御実家ですの?同じ苗字だなんて珍しい。浦原なんて、あまり被る苗字でもありませんわ」
なるほど、どうやらまだあの日の黒いローブが私とは確信してないな。そもそもは先ず、私と浦原さんを結びつけたいってところか?ボロを出すのを待っているようだけど、さてどうしようか。
「…そうなんだよ。珍しいだろう、浦原って苗字」
「ッ!で、では、貴様はッ」
「だから浦原って呼ばれるの嫌なんだ、あのお店と被るからさ。実家でもなんでもないのに参るよ」
血相を変えた朽木さんに被せるように言う。嘘は言ってない。浦原と呼ばれるのが嫌なのも理由もホントだし、実家でもなんでもないのもホント。まあ住んでるけど。
「おいルキア、」
朽木さんの素が出たことに焦った一護が、慌てて止める。意地悪してごめんな、勘弁してくれ。まだ貴方達に正体ばらす訳には行かないみたいでね。
「聞きたいことって言うのはそれだけか?それなら私はもう行くぞ」
立ち上がって教室に戻ろうとすると、朽木さんが呼び止める。くるりと振り返ると、未だ怪しむような彼女の目。
「……つまり、浦原さんは、あのお店とは何も関係ないのかしら?」
「………浦原は止してくれって言ったろ?朽木ルキアさん」
それだけ言うと、私は振り返らずに教室に戻った。
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作者名:名無し | 作成日時:2022年2月21日 5時