看板娘27 ページ28
「Aサン、いい加減ご機嫌直してくださいな。すみませんってば」
ツン、とそっぽを向く私に、浦原さんは絶対に反省してない声色で言う。もう二、三発決めてやろうかこの男は。
「……浦原さんは私を舐めすぎです」
口に出したのは、紛れもなく本音。確かに貴方や夜一様には及ばないかもしれないけど、私だって何も出来ない、何も知らない子供じゃないんだ。腹の中からふつふつと怒りがぶり返す。
「舐めてなんかないっスよ。これでもアナタには、嘘をつくことも隠し事もしてない方なんスけどね」
こりゃ参った、と帽子を深く被る浦原さん。そんな弁明も言い訳も、今の私にはどうでもいい事だった。
「……そんなことじゃない。貴方は、私の貴方に対する気持ちを舐めているんです」
「気持ち……ッスか?」
「貴方に言われたことを、私がこなせないハズはない。霊圧を隠して、死神代行と義骸に入った死神を張り込む。必要ならば手を下し、隠蔽して、尸魂界にあの魂魄が……崩玉が渡ることの無いようにする。…どれも私が適任だと、考えれば解る。でもそんな事すら貴方は私に指示しない」
浦原さんは黙り込んで何も言わない。崩玉を埋め込んだ朽木さんの魂魄。それがなにかのタイミングで露呈してしまったら?一護が虚に敗けて、尸魂界に一連のことがバレたら?居場所を突き止められた貴方が、どうなるかなんて……想像がつかないハズがない。
「私がたかだか一月程度の情などに惑わされて、貴方を危険に晒すようなことをする不安があるんだ、貴方には。だから、何も言わない。いざとなって私が奴等を殺すのに臆することの無いように、全てを自分の手で始末しようとしてる。
……私が、キズつかないように、してる」
___解っている。大事にされていることなんて。
けれど私が欲しいのは、平穏で、幸せな、護られた世界じゃない。貴方を支えて、後ろで……あわよくば隣で、護ることの出来る力と立場だ。
私は、貴方にだけは、護られたくなんかない。
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作者名:名無し | 作成日時:2022年2月21日 5時