看板娘26 ページ27
鬱憤も晴らして、もう一度義骸へと戻る。相変わらず、この力を制限されるような感覚には慣れないな…
長い階段を上り店先へ戻ると、テッサイとウルル。
「ウルル。戻ったのか、今まで何処に?」
「はい……お散歩に行ってました」
「そうか、たしかに今日は天気が良かったからな。いいことだ」
ぽん、と頭を撫でると嬉しそうに口元を緩めるウルル。可愛らしいことだ、何処ぞの変態と違って。にこ、と私も笑えば、テッサイはもう宜しいので?と私に問いかけてくる。
「うん、あの人が帰ってくるまでは大丈夫。着替えてくる」
制服を脱いで、浦原さん作の白生地に「浦原商店」と書かれたシンプルなシャツを取り出す。ズボンを履き替えて店先に戻り、テッサイと店番を交代した。
夕暮れ時の少し前辺りには子供が多く来る。ジン太がウチに帰って来るのと同時にお客さんを連れてきてくれるのは毎度助かっている。
「いらっしゃいませ〜」
ジン太の友人の少年たち相手に接客をして、すっかり日も落ちて来た頃、がらりと店を開けたのは今日1日待ち望んでいた奴だった。
「Aサーン、みんなー、ただいま帰りましたよーーん」
「おかえりなさいッ!!」
「顔が痛い!」
スッパァン、と小気味良い音がして私の蹴りが浦原さんの顔にクリーンヒットする。この野郎人を散々おちょくり回しやがって。
「なァんスかぁ急に!昼間はあんなに大ッきな声で熱烈にキスケさん♡って」
「そんな風には言ってないッ!!」
…もう一発、今度は拳が浦原さんの腹に沈んだ。
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作者名:名無し | 作成日時:2022年2月21日 5時