看板娘１７ ページ18
黒崎医院へ着いてみれば、入口が大惨事になっている上、おそらくは一護の身内たちが倒れている。そうして医院の前の道には、……死覇装姿の、オレンジ髪の男が倒れていた。
｢死神化ですか｣
｢そうみたいっスね。でも、ボクらが助けるべきは彼と言うより……｣
｢ええ。もう1人の方だ｣
浦原さんの視線の先の、肌着姿の死神。この子が一護に死神のチカラを与えたのだろうか。にしても、いくら何でも全部の力を渡すなどと……
｢Aサン、彼らの治療をお願いできますか。あの死神サンの方はアタシがやります｣
｢わかりました｣
黒崎医院へ降り立ち、回道で応急処置程度の治療をする。幸い誰も魂を喰われていないようで、大した処置をしなくても大丈夫な程だった。
完全に気絶して転がっている一護にも治療をしようとしたが、どうやら疲れて眠っただけらしい。傷という傷はなかった……というより、死神化の際にあの女死神さんの霊圧ででも塞がったのだろう。
｢……｣
｢終わりましたかァ、
女死神さんと何やら話をしていたらしい浦原さんが、態とらしく私の苗字を呼ぶ。一護が此処にいる以上、万一にでも私の正体が聞かれない為の配慮だと思われる。
｢…大体は。後は記憶置換だけです｣
｢分ッかりましたァ。そんじゃ待ってますね｣
懐から記憶置換装置を取り出して、パッパと手際良く一護の身内にかけておく。
｢……な、何なのだ、貴様らは…！｣
肌着の女死神さんが怪訝そうに私たちを見る。まぁそれもそうだ。"向こう"じゃ私たちの居所さえロクに掴めていないんだろうし。
｢ただのしがない商人ッスよ♡｣
浦原さんの飄々とした声に、女死神さんは顔を顰めるだけだった。
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作者名：名無し | 作成日時：2022年2月21日 5時
