看板娘10 ページ11
入学から早くも1週間。私の席は、先日声をかけるのを止められたオレンジの彼……黒崎一護の斜め前だ。
「一護、おはよう」
「浦原か。おはよ」
カバンを置くと同時に、一護に声をかける。彼とはあの後、同じクラスなのだと知り接触を図ったのだ。浦原さんにも「ボクらの世界に踏み込ませないならぜひぜひ仲良くしちゃってください!Aサンお友達多いほうじゃないンスから」などと失礼なことを言われた始末。大変腹立たしいが、交流することに関しては特に何も言われなかったのと、都合よく席も近いため、友人となったのだ。
「……浦原はやめてくれ。Aだ」
「いいじゃねーかどっちでも…なんでそんな嫌がんだよ」
呆れた顔で一護が言う。浦原姓を名乗るのがどれほど複雑かぶちまけてしまえればいいけど、生憎それはできない。なんででもだと返して席に座ると、けたたましい足音と共に一護に飛び蹴りがかまされる。まぁ一護は避けていたが。
「いっちごゥォーーーぉぉお!!?お前!!お前と言うやつは!!!!こーーの裏切り者ーー!!!」
朝から大変騒がしいこの声は、一護の友人の浅野啓吾。大変な女好きらしく、いつも一護に絡んでいる。根の悪い男ではないようだが、頭は悪そうだ。
「ンだよ啓吾、朝からうるせーな」
「一護お前っ!お前はァ!!うちのクラスの井上さんに並ぶ高嶺の花(俺選抜)の浦原Aさんと入学1週間にして何ゆえこうも親しげに!!?」
ビシッと浅野啓吾に指をさされて一護の視線が私に向く。お前そんなこと言われてたのか、というような目を向けられても私も初耳だ。
「…浅野啓吾、よく分からないが、つまり君は私と友人になりたいと思ってくれるのか?」
「へっ?」
「君さえ良ければ、仲良くしてくれないか。恥ずかしい話、友人が少ないものでな」
すっと手を差し出すと、彼はぶわっと目に涙を浮かべて一護にしがみつく。
「いッ……一護ゥ……おれっ…きっと今日か明日が命日だ……今までありがとう楽しかったぜ……」
「暑苦しい。良かったじゃねぇかAがオトモダチになろうってよ」
一護に蹴っ飛ばされた啓吾に泣きながら手を取られて、少しだけ後悔したのは言わないでおこう。
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作者名:名無し | 作成日時:2022年2月21日 5時