看板娘244 ページ49
織姫達にたつきや啓吾を呼んでもらい、浦原商店の前で待つ。集まった彼等に長々と、日が暮れるまで事の顛末を説明した。一つ一つに疑問が絶えない彼等に私達もまた一つ一つ真摯に答えた。漸く話し終えて、解散の流れとなってもまだ皆はどこか心ここに在らずと言った具合で全てを把握しきれていないようだった。
「…A、織姫…とにかく、話してくれてありがとう。一護が目覚めたら、あたしにも連絡して」
私と織姫が頷くと、たつきは眉を下げて笑い帰っていく。皆が帰った後に織姫と茶渡と話をした。織姫は今は足繁く尸魂界の四番隊救護詰所に通い戦いの負傷者の治療を手伝っていて、茶渡は更に力をつける為にボクシングジムに通っていると言う。二人とも次へ進んでいる。
「お疲れ様っス、Aサン」
「浦原さん。騒がしくしてすみません」
「いいんスよ、ちゃんと満足いくまでお友達に説明出来たんスか?」
はい、と頷くと浦原さんはにこりと笑って畳に腰掛ける。ぽんぽん、と自身の横の床を叩いて私を呼び寄せる動作はもう見慣れたものだ。指示されるまま浦原さんの隣へと腰を下ろす。
「…Aサンは、この先どうしたいっスか?アタシらは恐らくもう罪には問われません。現世へいる事も、尸魂界へ戻る事も出来ます。Aサンも、好きな場所へ行ける」
浦原さんは私をまっすぐ見て言う。長年見てきた限り、浦原さんは現世での暮らしがお好きだ。尸魂界へ戻らずとも研究は出来るし、不便なことも無い。むしろ技術力は現世の方が遥かに優れている。自分は現世に残るつもりだと仰らないのは、百一年もの間募っていた私への罪悪感だろう。
…どこまでも優しくって、厭になる。
「私は、現世に居たいです。友人も出来ましたし、尸魂界へはもう何時でも行ける。むこうへ戻るとなると、現世にはなかなか干渉できなくなりますから」
浦原さんはどうですか、と笑う。私が貴方の心を察しているのを悟った浦原さんは目を細めてアタシも、この生活が気に入ってるんスよと笑った。その笑顔がやっぱり大好きだなあ、としみじみ思う。
真子達も今は療養中だから皆尸魂界にいる。ひよ里なんかは回復すれば一目散に現世へ帰ってきそうだけど。
「…Aサン」
「はい、浦原さん」
そのまま何を言うでもなく、浦原さんがそっと重ねてきた手の温もりに目を閉じた。
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渚(プロフ) - BLEACHに再熱した者です!この作品とても好きです!浦原さんカッコイイです!!引き続きお話読めるの楽しみにしています! (2022年9月5日 18時) (レス) id: 9dd9702176 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - はわ、、BLEACH再熱してしまってこの小説に辿り着いて刺さりすぎて徹夜で全て読んでしまいました、、、!!すごく好きです理想の浦原さんで泣きそうです!!応援してます!!! (2022年6月21日 20時) (レス) id: 849b00c654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作成日時:2022年6月20日 19時