看板娘242 ページ47
そんな風にあからさまに怪しい態度を取ってしまった翌日。気まずすぎる。腹を括って下へ降り朝餉の準備をするために台所へ向かう。お米が好きな浦原さんの為に、種類やら炊き方やらこだわっているのだ。うん、今日も良い感じ。
「いい匂いっスねえ」
「浦原さん!おはようございます、今日は少しお米の品種変えたんですよ。気に入っていただけたら良いんですが」
「ハイ、おはようございます。アタシの好みはAサンが一番よく分かってらっしゃるでしょう。きっと気に入るっスよ」
パッと顔を上げると、浦原さんが微笑んで私を見下ろしている。いつも見ている優しい笑顔の筈なのに、今日はいつもより影があるように見えた。
「浦原さん、具合でも悪いんですか?顔色がなんだか元気無く見えます」
「そんな事ないっスよ?いやあ、何せ昨日はAサンがアタシ以外の人に相談なんて言うもんスから。大人の階段登って、アタシから離れるおつもりなんじゃないかと思案してたんスよ」
「何を言うんです、まさか一睡もしていないんですか!?そんな杞憂を考えるお暇があるなら寝て下さい、私が浦原さんのお傍から離れるワケないじゃないですか」
こんなに大好きにさせておいて、今更離れられるはずが無い。そんな風に思われてしまう程の事をしただろうかとは思ったが、確かに悩み事はいつも一番に浦原さんに相談していたから仕方ないことなのかも。
「……離さないで、って言ってたじゃないスか。ボクに言えない悩みも抱えるほどになっちゃって」
貴方は面倒臭い彼女ですか、と言い、居間に座布団を何枚か重ねて即席の枕を作る。どうぞ、と浦原さんに声をかけてそこへ寝かせるも浦原さんはくい、と私の服を引いてまだご不満なようで。そんなお顔も可愛らしい。私にだけ見せてくれているのかなと自惚れてしまう。
「私はどんなに大人になっても、貴方が望まない限り浦原さんのお傍から離れたりしませんよ。それこそ、離さないでと言ったばかりでしょう」
「…Aサン」
「一護が目覚めたら、きっと貴方もひと段落つけるでしょう。今は忙しいでしょうから、私の事なんて考える暇があれば寝て下さい」
そっと浦原さんの傍へ座って、少し癖のある髪を撫でる。すう、と目を閉じたのを見て少し安心した。うん、もういつも通りの態度が取れる。色恋にうつつを抜かす様な女とは見られまい。
立ち上がって、途中のまま放ってきてしまった朝餉の準備をしに台所へ戻った。
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渚(プロフ) - BLEACHに再熱した者です!この作品とても好きです!浦原さんカッコイイです!!引き続きお話読めるの楽しみにしています! (2022年9月5日 18時) (レス) id: 9dd9702176 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - はわ、、BLEACH再熱してしまってこの小説に辿り着いて刺さりすぎて徹夜で全て読んでしまいました、、、!!すごく好きです理想の浦原さんで泣きそうです!!応援してます!!! (2022年6月21日 20時) (レス) id: 849b00c654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作成日時:2022年6月20日 19時