看板娘230 ページ35
「…っ、ま、待って!一護のところに行くなら、あたし達も……!」
たつきが言う。けどその目はグラグラと揺れていて、呼吸も荒い。藍染の近くにはとてもじゃないけど連れて行けないくらい疲弊している。瞳が揺れているのは、それだけが理由じゃ無いだろうけど。
「Aサン」
浦原さんは目だけで、連れて行けないと語る。私もそう思うから、頷いた後に浦原さんに言った。
「…喜助さん、先に行っていて下さい。後で追いつきますから」
「分かりました。ゆっくりでいいっスからね、Aサン」
たつき達を見て振り返らず言うと、ぽんと頭に手を置かれる。そのまま浦原さんは藍染達のところに向かった。
「……たつき、皆」
「Aは…知ってんだろ、一護のことも、織姫のことも……!もういいだろ、全部話せよ…!!」
「Aさん……」
皆、不安そうだ。私のことも含めて、なんだろう。こんな経験してしまった以上、説明をしない訳にもいかない。記憶を消してしまえばそれまでだけど、もう隠すのも嫌だった。どの道彼等が霊媒体質になった事実は変わらないし。
「……連れて行け、と心から思うなら、私は止めないけれど…今は揺らいでるだろう、皆」
「…!!」
「話しかけたい、問い詰めたい気持ちもあるだろうけど、皆疲弊してる。心のどこかで今は落ち着く時間が欲しいと思ってるんじゃないか」
誰も何も返さない。皆図星なんだろう。今は安全な場所へいてくれと言うと、たつきが俯いたまま小さくわかった、とだけ言った。
「大丈夫だよ、全部話す。……もう隠さない、私も一護も」
そう言って、みんなの避難を始める。乱菊さんにも、もう動かない市丸と共に避難してもらった。傷心中の彼女をそっとしておきたくて、一人一人私が家まで送り届けた。アフさんだかイモ山さんだかにはたつき達のことや破壊された地面など、空座町の様子を尸魂界へ伝える報告係を任せることにした。
「…じゃあ啓吾、お前はここにいてくれ。鳴木市は空座町じゃないから、家には送れない」
「っあ、はい…Aさん、一護は」
「大丈夫。必ず勝つし、生きてお前達の元へ帰すよ。その為に私や喜助さんが居るんだ」
そう言って啓吾に背を向け、私は流魂街の外れに飛んでいった一護達の元へ駆けた。
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渚(プロフ) - BLEACHに再熱した者です!この作品とても好きです!浦原さんカッコイイです!!引き続きお話読めるの楽しみにしています! (2022年9月5日 18時) (レス) id: 9dd9702176 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - はわ、、BLEACH再熱してしまってこの小説に辿り着いて刺さりすぎて徹夜で全て読んでしまいました、、、!!すごく好きです理想の浦原さんで泣きそうです!!応援してます!!! (2022年6月21日 20時) (レス) id: 849b00c654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作成日時:2022年6月20日 19時