看板娘228 ページ33
「…市丸……!」
「戻ったか…彼女はどうした?」
藍染がそう聞いてハッとする。…乱菊さんの霊圧が消えている……!?市丸の様子は見る限り平素と変わるところは無い。殺しました、と答えたのはおそらく嘘だとしても、どの道乱菊さんの助けは望めない。2対1は流石に分が悪いぞ…!
「…やれやれ。鼠取りにもそろそろ飽きてきたのだがな」
ジリ、と迫る藍染に市丸が声をかける。啓吾達を殺して王鍵の創生に執りかかると言った。そうして構えた剣に触れて、市丸が藍染の前に立つ。
…藍染に見えぬように、口に人差し指を当てて私へとジェスチャーをした。数回動いた唇が、音無くして発した言葉は…
「" 逃 げ "」
そう言った瞬間、市丸は藍染の胸へ刃を突き立てた。
「…市丸……!!」
やっぱりだ。やっぱり市丸は藍染の命を狙っていた。おそらくは乱菊さんの為に。二人がどういう関係かは知らないが、二人の様子からして相当な仲だったはず。仲間も故郷も棄てて、藍染を殺すこの時を待ち望んでいたのだろう。
どうして分かったか、と問われれば私自身上手く答えられない。でも、あれだけ藍染に忠実に後ろを歩いていた市丸の目は、東仙要とも浦原さんを見る私とも違う気がしたのだ。
藍染の胸に大きく孔が空いて、崩玉を掴み取る市丸。藍染の最後の抵抗も直撃を避け、瞬歩で遠くへ消えた。藍染は咆哮して、辺りが煙に包まれる。
「…っくそ……!」
兎にも角にも追わなくては。市丸の所へ駆けたのと同時に、藍染の声が聞こえる。止める間もなく、私が着いた瞬間藍染は市丸に刃を突き立てていた。進化に必要な恐怖を揃えてくれた市丸に皮肉の感謝を吐き捨てる藍染。
「ありがとう、ギン。君のお陰で私は、終に死神も虚も超越した存在となったのだ」
ざり、と藍染が私を見る。この姿の藍染からは、霊圧と呼んでいいかも解らない膨大な力が溢れ出ている。押し潰されてしまいそうだ。
「…これでも君は、私を理解できるか?名前のつかない存在となった私を」
不敵に笑う藍染。けれどその目の奥はまだ、私には淋しがりの色に見えた。
「…名前なら、あるだろ……虚圏で言ったはずだ。お前は藍染惣右介だ、それ以外の何者でもない、って……お前はずっと、お前だ」
「__……!」
目を大きく見開いた藍染。後ろの啓吾達も限界だ。私の力でどこまでやれるだろうかと勿愛を構えた時、誰かが藍染の後ろへ降り立った。
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渚(プロフ) - BLEACHに再熱した者です!この作品とても好きです!浦原さんカッコイイです!!引き続きお話読めるの楽しみにしています! (2022年9月5日 18時) (レス) id: 9dd9702176 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - はわ、、BLEACH再熱してしまってこの小説に辿り着いて刺さりすぎて徹夜で全て読んでしまいました、、、!!すごく好きです理想の浦原さんで泣きそうです!!応援してます!!! (2022年6月21日 20時) (レス) id: 849b00c654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作成日時:2022年6月20日 19時