ニセモノを探せ*11 ページ12
「センラ君、ほらほら見て」
志麻がにやにやとしながらセンラを手招きする様子を見て嫌な予感がした。
センラは不思議そうな顔をしながら志麻の方へ行き、やがて「ぶふっ」と吹き出した。
いや吹き出したときの声やばいから。
普段女子生徒から紳士と言われているのに台無しですよ、と心で突っ込んでおく。
「いやー学校にこれ持ってくんのか」
「見られて恥ずかしくないんかな」
「いやそれか見せびらかしたいんちゃう？他の人に」
「強すぎやん」
私に背を向けながら2人で話している中、志麻がくるっと顔をこっちに向けた。
「Aも見る？」
私の中で彼らが何を見ているか、という予想はなんとなくついている。
男子男性が好きな、ああいう雑誌じゃないかって。
いや、さすがにそれを女子に見せるか？
けれど志麻のニヤついている口元を見ると反対に私に見せて反応を面白がっているのかもしれない。
想像して一気に顔が熱くなった。
その想像をかき消すようにぶんぶんと頭を振る。
ちょいちょいと手招きされて一瞬躊躇った後に2人のもとに向かう。
ええい！もうなんにでもなれ！1つの経験だ！たぶん！
意を決して2人が見ていたものを薄目で覗き込む。
けれど視界にぼやけて入ってきたものに思わず「え？」と声が出た。
雑誌だと思って覗き込んだがそれにしてはあまりにもサイズが小さい。
志麻が持っているものは掌に余裕で乗っかるサイズだ。
薄目にしていたのをやめて今度はしっかりとそれを見た。
そして、はっきりとそれを目に捉えた瞬間「は？」と声が出てしまった。
「おもろいやろ」
「ほんまきっしょいわー」
志麻が持っていたもの。
それは1枚のプリクラだった。
映っているのは3年生のカップル。
いつもベッタリと一緒にいる2人は私までもが知っている。
その2人が「1年記念」とハートで囲まれた中でギューッと強く抱きしめあっているそのプリクラに思わず「うわ」と声が出た。
「でも俺割と彼女の方可愛いと思うんやけどな」
「ショートカットだからやろ」
なんだか勘違いしていたことにもその後の2人の会話にも呆れてきて思わずため息が出た。
「なんかおもろくなさそうな顔してんな〜もっとやばいやつ想像してたん？」
「……なわけ！」
その場から離れて窓へと向かった。
窓の外を見ると、恐ろしいくらい明かりが無い。
鏡の中の世界だから明かりがないのだろうか。
はっきりとした理由は分からない。
その暗闇の中輝く星までもがニセモノに見えてきて「そろそろ行くぞ」という声に慌てて返事をして駆け寄った。
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菊香(プロフ) - 白雨さん» わ！はくちゃんありがとう〜！！めちゃめちゃ嬉しいです…そんなこと言ってくれて光栄ですありがとう(;;)更新のペース上げれたらな、と頑張るのでこれからもお付き合いください* (2019年9月26日 5時) (
レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - コメント失礼します〜！ 菊ちゃんの作品の中で1番好きな作品がこの『ニセモノを探せ。』なんだけど、やっぱり考察も入るから一つ一つの表現と言葉が印象に残るし、文もまとめられてるからすっと頭に入ってきて凄く読みやすかったです！更新待ってます……！！ (2019年9月26日 0時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 乃都さん» わわっ、ありがとうございます！とても嬉しいです…励みになります(;;)これからもお付き合い頂けると幸いです〜！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
乃都 - 分かりやすい表現で､メンバー一人一人の性格や口調も掴めていながら読めば読むほど推理や推測も出来私などでは､表し用の無い程素晴らしい作品です。こんな素敵な作品を見せて頂きますありがとうございます。 (2019年9月25日 17時) (レス) id: ddd9224e3c (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - イチさん» うふふ( *´艸`)更新がんばりますね！ (2019年8月18日 17時) (レス) id: 2f8e2c41d8 (このIDを非表示/違反報告)
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