昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ6)

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となり*6 ページ6

確か、卒業式のとき隣の席だった彼に貸してもらったハンカチは、
返そうと思ったら彼がもういなくなっていたため返せないでいたはずだ。

いつか会えたときに渡そう。
そう思って10年近く年月が流れたわけだけど。

確か捨ててはいないはず。
多分、タンスの中に入っている気がしたけど……。

そう思ってベッドから出て、タンスの中を探す。
三つ目の引き出しを開けたとき、薄い赤のハンカチはそこにあった。

「やっぱり、捨ててなかったんだ…。」

綺麗に折りたたまれているから、私があの後洗濯してアイロンでもかけたのだろう。

……そうだ。
私が赤を好きになったのは、これがきっかけだ。

高校になってから赤いものを見ると、彼の事を思い出してしまって、
いつの間にか私の部屋には赤色のものが増えていた。

だとすると……。

さかたんを好きになったきっかけの1つでもあるのかもしれない。

「懐かしいなぁ…。」

ハンカチはまた畳んで、タンスの中に入れておいた。

きっと、これから先も渡せないだろうと思っていたんだ。
この時は。

……

あの出来事から約二週間後。
私は、部屋の中であるものを見つめて、発狂しそうな気持ちを抑えようとしていた。

「ああああああああ!!!!!!」

いや、抑えられなかった。

私が手にしているのは、一ヵ月後の日付が書かれたチケット。
そのチケットは……。

「さかたんに会える!!!」

さかたんのワンマンライブのチケットだ。

発狂しているなんて誰かに見られたらたまったものじゃない。
良いんだ。ここは私の家だから。

そして今日の朝届いたチケット。
これは、頑張って私が掴み取ったものだ。

そう、私は宣言通りチケットをもぎ取った。

席は真ん中くらいだけど、まぁいいだろう。
さかたんに会えるなら。生のさかたんを拝めるなら、大丈夫だ。

来月がここまで待ち遠しく思えたことは、初めてだった。