昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ7)

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となり*7 ページ7

カウントダウンを心の中でしながら、私は毎日を過ごしていた。
これほどまで長く思えた約一ヶ月は無かっただろう。

そうして、ライブ当日。

ペンライトやさかたんのグッズを購入し、自分の席に向かう。
……近くも遠くも無い、微妙な場所。

でも、後ろ過ぎなくてよかった。

周りに人が増えてくるにつれて、私のテンションは上がってくる。
他の人も私と同じみたいで、ざわざわとしてきている。

しかし、そのざわざわは一気に暗くなった照明で静まった。

胸の鼓動が、今まで生きてきた中で一番早くなっている気がする。
耳のすぐ横に心臓があるような感覚。

ステージに不自然に張られた、白い幕のようなもの。
パッと照明の光が白い幕に集まる。

そこに現れた黒いシルエット。
観客の歓声が少し沸く。

白い幕が一瞬で上がり、シルエットがあらわになった。

きゃあああと沸く会場。

「今日は俺のライブに来てくれてありがとう!!
今夜は楽しむぞ!」

さかたんの声が会場中に響き渡り、会場全体から歓声が沸いた。

「さかたああああああん!!!!」

もちろん私も。

さかたんの顔はあまり見えなかったけれど、イケメンだということはわかった。
うん、さすがだよさかたん。
さすがさかたんは、イケメンでイケボという天使だということがわかったよ。

「盛り上がっていくぞ!
早速歌うのは……＿＿＿＿」

赤く光るペンライトを振って、今まで出したこと無いほど叫んだ。
きっと、明日は声が枯れるだろう。
しかし仕事は無い。昔の私、よくやった。

会場全体が、赤一色に染められている一体感。
今までイヤホン越しでしか聞いたことの無い声が直で聞こえる喜び。

もう、今までの人生で一番幸せだ。