昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ5)

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となり*5 ページ5

中学校最後の隣の席が、好きな相手でとても喜んだのを良く覚えている。
だから、話すことも増えてあの頃はとても楽しかった。

それから北海道に住んで、高校で彼氏も出来た。
けれど、忘れられなかったんだ。

隣の席だった彼の事が。

「今、どうしてるんだろうなぁ……。」

そんな呟きは、人が増えてきた電車の中では誰にも聞かれることも無く消えていった。

……

「ふぅ…。」

仕事も終わり、駅から家に向かう最中の夜道。
私は１人でため息を零した。

「サンプルの資料を今週中までにまとめて、プレゼンの内容も考えなくちゃ…。」

ブツブツと呟きながら歩く私は、変な人に見えてしまうだろう。
でもそれは心配ない。夜の住宅街は、私以外誰もいないからだ。

だから、帰り道にいろいろと呟きながら歩くのは習慣になりつつある。

私の働く化粧品会社は、新たな商品の開発に向けて仕事が多くなっている。
なので当然、私の仕事も増えるわけであり…。
今日は残業して頑張った。

なら……

「さかたんの声を聞きまくるぞ!」

そう決意して、家への道のりを早めた。

ベッドに入って、スマホから繋いだイヤホンで今まで投稿されているさかたんの歌を聞く。
これが、最近の私の一番の癒しであり、ストレス解消法だ。
仕事で溜まったストレスも、さかたんの声を聞くと消えていってしまう。

……愛のパワーはすごい。

でも、さかたんのソロだけではなく浦島坂田船やAtR、
その他もろもろの歌い手さんも好きなのでマイリストに入っている曲をシャッフルして聞いている。

その中でもさかたんが一番多いのだけれど。

イヤホンから、まふくんの[ハートの後味]が流れた時ふと思った。

「……あのハンカチ、どこいったんだろう。」