昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ34)

今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:223,976 hit

となり*34 ページ34

話を聞くと、うらさかの2人で来てくださいってAtRの2人からチケットを二枚もらったらしい。
チケットが一枚余ってしまうから、私に行かないかって聞いたらしいけれど…

「それ、私もらって良いんでしょうか…」

うらたんが頷く。

「俺が行けなくなったせいで、1つ席が空くくらいだったらファンの子に見に来てもらうほうが良いと思うんですけど…」

「坂田君は…?」

さかたんが私が付いてくるのが嫌だったらどうしよう。
そう思って、チラリとさかたんの方を見る。

「俺?俺は全然瀬川さんいてもええよ?」

そこで嫌やって言う理由無いやん
そう言って笑うさかたん。

…昔から変わっていない。
その笑顔も、性格も。

だから、私は、

「ライブ行きたい、です。」

好きになったんだろう。

今も、昔も。

「よし!AtRのライブ、倍楽しみになったわ!!」

でもその純粋な笑顔は、誰に対しても振舞うものだから。
浮かれそうになる気持ちを抑える。

「私も、楽しみ。」

そんな様子を、うらたんは見つめていた。

「ずっと気になってたんだけどさ、」

うらたんが、私とさかたんを交互に見る。

「瀬川さんは、元同級生の坂田と歌い手のとなりの坂田が同一人物だって分からなかったの?」

うらたんは、敬語を抜かして話してくれるようになった。
私の方が年下だから、タメで良いですよと言うと抜かしてくれるようになったのだ。

うらたんの言葉に私は頷く。
そして、ため息。

「分からなかったんですよ。坂田家なのに恥ずかしい……」

今でもそれは後悔している。
なんで今まで気づかなかったのだろう。

あんなにさかたんのこと好きだったのに……。
小さく、うなだれる。