52話 ページ10
速度、喋り方…、声のトーン、何が不味かったのか反省するのは後にして今は目の前の少年がよからぬことをするのを避けなければならない。
「そっか…。そうなんだ。」
顎に手を当て、変なことを呟き始めクスクスと笑い始める。
…警戒していると、彼の目が合ってしまった。そして彼は私を見るなり一層笑顔になる。
「Aちゃん…。僕と友だちになってよ」
「…なんで今?」
彼の口からこの言葉をいつか聞く日がくると思ってはいたので、落ち着いて、当たり障りなく理由を聞いた。
「友だちの価値を知らないから、実際に経験してみようかなって」
怪しく彼は口角を上げる。
半分は嘘だろう。
…今の流れで純粋に友達になりたいとか、この野坂悠馬に限ってあるはずがない。
絶対裏がある。
っていうか今まで野坂は友達に関してこんなことを言っている。
『友達?…そんなのいらないし、僕には初めからいない。
心配しなくても、僕は周りの子にかまったりしないからね。本当にAちゃんだけしか見てないから。
Aちゃんがいれば僕それで、…いや、言葉だけじゃ伝わらなくて当然かな…。
ふふっ、じゃあ直接教』
…みたいな発言をしていた。
それからのくだりは毎度お決まりの好き好きコールなので省くとして…。
重要なのは、彼は友達という存在に全く興味を抱いていないということ。
そもそもこんな環境を作り上げた連中が、「は?…トモダチ?そんなのは学びにいらないっ!」と言いたげな批評をしているのだ。
だから仕方ないのかもしれないけど、彼はそのせいもあって本気でいらないものと思っている。
そんな彼が今、私にこんなことを言う理由。
私も流石にわからないほど鈍感ではなかった。
恐らくは…、そう考えてほぼ確信に近い私の憶測を述べた。
「…ねえ、私の友達(フロイ)と張り合ってるの?だから、悠馬くんは友達になりたいの?」
そう言うと彼は黙って、一歩踏み出し私の頬に手を添えた。
「うん。そうだよ。
だってAちゃんは遠く離れた場所にいるからって助けてもくれない酷い友だちでも僕より大切にするんだよね?
それなら、__どんな時もずっと側にいて、Aちゃんのためならなんでもしても、どんなに気持ちを伝えても、友だちじゃない限り僕は絶対その人よりも下なんて…そんなの嫌だ…。」
…これは、困ったな。
私の脳内では彼の返事に関する論争の始まりの鐘がなった。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます!(*´∇`*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします!\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです!続きを待ってます!(*´ω`*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます!!凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます!更新のろのろですみません…! (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね!これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう?これからも楽しみにしてます! (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え!?本当ですか!!ありがとうございます!!コメント本当にありがとうございます!嬉しいです! (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙稀乃 | 作成日時:2020年4月12日 12時