５３話 ページ11
たかが友だちになるか否か、返答に困っているのは私の価値観にある。
私は、"友達"が非常に苦手だった。反吐が出るくらいだ。
もっと細かく言うなら友達という枠組みが嫌いだった。
無駄な話を聞いて、同情や適当な共感を演じ、時には懐疑し…そして自分に不都合と思えば最終的に裏切る。
そんな簡単に築けて人を縛れるモノ。
だから私は畏怖もしていた。
『それならお前さ。"ヒロト"はどうなんだ？』
お日さま園で一緒に育った彼らのうちの一人に言われたことがあった。
私は少なくとも彼を友人というよりどちらかというと"幸せにしたい人"と認識していた。彼が笑顔でいてくれるならそれで幸せだとそう思っている。
…曖昧なところはあるけど、それだけは確信を持てた。
でも、そんな知りもしない他人の複雑な心境なんて周りの人から見ればそう簡単に頷けるはずもない。
だから結果的に前の世界だと、私と"ヒロトくん"は友達…ということになってる。
最後は私が折れたのだけど。
説明したところで、『友達じゃないぃ？あー…ほらアレだろ？お前さ、あいつが好きなんだろ？』と"男と女の関係には恋愛しかない"とでも言いたげな言葉を頂戴される。ってか、決めつけられるのだ。
だったら、恋人を疑われるより友達の方がましだ。
(まあ、でも…一番の理由は……)
"ヒロトくん"だろう。
何より基山ヒロトが周りにそう公言したから。
私にそんな関係を望んだからだ。
そういえば…、とふと思い出す。
"ヒロトくん"が友達と周囲に告知したその数日後、定期的に行われるお日さま園の集会で"ヒロトくん"の周りに人がずっと集っていたっけ？
なんの話をしてたのかも全く教えてくれなくて謎のままだ。…アレは何だったんだろう。
いや、今は脱線してる場合じゃない。
友達の話に戻そう。
第一この世界で唯一の友達フロイだって、あの頃はまったく記憶がなかったのだから不可避だ。
気づいたときにはもう既に友達なのだからどうしょうもない。
これ以上友達なんてもの増やしたくないわけだし…、やっぱり野坂の友達の申し出も断りたいのが本心だ。
「Aちゃん…？」
心配そうに覗き込む彼の顔を見てはっと我にかえる。
「…もう日が暮れる時間なのね。」
オレンジ色の空はだんだん暗くなっていった。
「取り敢えず話は中に入ってからでもいいかな？風邪引いちゃう。」
「…うん」
彼は私が差し出した手を強く握った。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
