５４話規格外 ページ12
断りの言葉がどうしても喉につっかえて出てこない。
考えさせてほしいと言ったきり、なんて断ろうか。…そればかり考えていた。
野坂はどう思ったのか、それ以降責たせるような仕草は一切せずいつも通りに接してくる。
夕食を食べながら、チラチラと野坂を観察した。
「…ついてる。」
「えっと…？」
野坂は不思議そうな顔をした。
口元についた汚れが気になり、どうしたの？と訴えかえてくる瞳を向ける少年を放って箱からティッシュを一枚抜き取った。
彼の口の端についたケチャップをティッシュで拭ってやると、彼は照れ笑いする。
「ありがとう…。でもこのぐらい自分で…」
「私が勝手にやったんだから、気にしなくたっていでしょ？美味しそうに食べる悠馬くんの手、止めたくなかったの」
席を立ってゴミ箱に捨ててすぐ戻ると野坂が珍しく食事に手を付けず、顔を抑えている。
「不意打ちだ」
「はい？」
「はぁ…でも、そんなAちゃんも良い」
彼はようやくフォークを手に取り、一口サイズに割いたオムレツをパクリと口に入れると美味しいのか頬が緩んでいる。
「今、すごい馬鹿な顔してる」
「Aちゃんがいるからね」
野坂がまた変なことを言い始めていたのでまともに返さないことにして、あまり進んでいないサラダを目にする。
「ね、そのサラダ頂戴」
「もちろん、いいよ」
いつものように頼み込んで、サラダを少し分けてもらった。
野坂は取りやすいようにお皿をこちらに近づけてくれた。
「野菜が好きなの？」
「…うーん。好き嫌いというより、肉とか卵とか食べてたら無性に食べたくなるだけ」
昔は結構毛嫌いしていたけど、高校生にあがるまでの間にすっかり食べれるようになっていた。
当たり前かもしれないが、味覚は環境や体が変わっても変化はしないらしい。
高校の時と好き嫌いと同じだ。
コーヒーはブラックでいけるし。
納豆は苦手のままだ。
野坂から貰ったプチトマトを噛み潰すと、じゅわっと強い酸味が口いっぱいに広がった。
「すっぱ…」
思わず口に出してしまった。
その私を見て彼は微笑む。
「ははっ、…変な顔だね」
笑われるのは全く嬉しくないが、でも今の野坂にそんなことは思わなかった。
…野坂っていつからこんな風に笑うようになったっけ……？
野坂をじっくり観察していたせいでそんな馬鹿馬鹿しい疑問がよぎる。
とても楽しそうな野坂を見て私は真剣考えていた。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
