イナズマイレブン～FF編～第1巻 (ページ11)

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（９）音無春奈ページ11

半時間と経たないうちに、円堂達が探していた奴が見つかったみたいなので、やっと試合が始まるようだ。

「あのー…」

秋「ん？」

秋さんの左側から、藍色のショートヘアーで頭の上に赤ぶちのセルフレーム眼鏡を乗せている女の子が話し掛ける。

「ここで一緒に見ててもいいですか？」

秋「えっ…？」

春奈「私、新聞部の音無春奈です！どうかよろしく！」

秋「あ、取材ね。どうぞ」

どうやら、昨日円堂にコメントを求めていたこの女の子は『音無春奈』と言うらしい。

制服のリボンがオレンジだから恐らく1年生だろう。

秋さんに対して敬語を使うあたり。

聖悟「…………」

春奈「あれ…？あぁーーーーっ！！！！」

秋「へっ？」

春奈「聖羅さんじゃないですか！」

聖悟「……はぁ？」

秋「あ、天空くんの知り合い？」

聖悟「知らねぇよこんな女……」

春奈「聖羅さん、雷門中に転入して来たんですね！……ところで何で学ランなんですか？」

聖悟「…………。悪いけど、僕は聖羅とかいうヤツじゃないから」

春奈「？……あ、あの！」

秋「はい？」

春奈「勝つ自信とかはありますか？」

秋「う～ん……あるか無いかと言えば……ない」

カクッ、と頭を傾ける秋さん。

40年無敗相手に、立ち上げ数日間で頭数合わせただけのサッカー部など、天と地の差だ。

実力も経験にも勝るはずがない。

秋「でも、あの円堂くんとみんなを見ていると……勝つかも。
なんかそんな気がしてきちゃうのよね。まだまだ始まったばかりのサッカー部だけど」

秋さんは、まるで成長したばかりの子どもを見守るように微笑んだ。

まだ発展途上で能力も未知数だが、熱意を感じる……とでも言いたいのだろうか？

春奈「うわああぁ～～っ、カッコいいーっ。
今のコメント、使わせてもらいますね！」

秋「へっ？えっ？」

音無さんは感心な声をあげつつ、オレンジのカバーがついたメモ帳にちゃっかりとシャーペンを走らせていた。

何と言うか……油断を与えない人って感じだな、音無さんは。