帰ってきた故郷(４) ページ19
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1ヶ月というのはあっという間で、今日また村を出る。
みみ「次いつ帰ってくる？」
「次は年末年始かなあ」
みみ「じゃあそれまでにタルトの子と進展しておいてね！」
「…ちょ！そ…そういうんじゃ…ないから…」
電車の時間まではまだあるから駅のベンチでみみちゃんと喋ってたけど最後までこの子は…
みみ「あー！もう！ほんとにAかわいい！」
「そんなこと言ってくれるのこの村の人くらいだよ」
この村は高齢化が進んでいて、若い子がいないからみみちゃんは可愛い可愛いと村の大人たちに言われて育ってきた。らしい。
私はある程度大きくなってからこの村に来たけどここの村の大人たちはみんな可愛がってくれる。
みみ「とにかく！報告！待ってるから！」
「大した報告はできないと思うけど…」
相変わらずこの1ヶ月、仁兎くんとのLINEは続いていた。
みみちゃんに尻を叩かれ、とりあえずタルトを食べに行く日は決めたけど一度冷静になったらスキャンダルのこととか来ていく服とか色々気が気じゃなくなってる。
LINEはだいぶ慣れてきたけど直接会って話すのはまだまだ慣れない。
「そう言うみみちゃんは好きな人とかいないの？」
みみ「ないない！この村の男どもは芋ばっかだし！笑」
「芋って…上条くんカッコいい！って前言ってたじゃん」
上条くんというのは私やみみちゃんと同じ学年のサッカー少年だった男の子で、中学の頃はみみちゃんずっと上条がカッコいいしか言ってなかった。
みみ「あぁ、村出てっちゃったからねえ」
「え！いつ？」
上条くんは大学に進学しないでお父さんの仕事を継ぐとか言ってた気がするんだけど…
みみ「5月。上条くんのおじいちゃんが体調崩したから介護のために近くに引っ越した。って言っても家は残ってるしたまには帰ってくるけどね」
し、しらなかった…
この帰郷中に誰か教えてくれてもいいのに。
みみ「しかもAとは違って私はちゃんと告白してるからね！」
「えぇ！」
私がしらない半年の間に色々と話が進みすぎてる…
みみ「バッサリ振られてもう吹っ切れてるけどね！」
そう言うみみちゃんはすごくカッコよく見えた。
父「A！これ持ってきな！」
後から来たお父さんに小さな包み紙を持たされる。
「ん？なにこれ」
母「東京着いたら開けなさい。それよりもう電車来るよ？」
「え、あ、うん。それじゃあ…」
なんだろう。
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作者名：小野屋 | 作成日時：2020年5月28日 17時
