日常258 優しい若頭 ページ46
少女の対応に脱力した2人は喧嘩をやめる。
理鶯は感心しながら、
「流石Aだな。」
少女とスカルの頭を優しく撫でる。
そして、
「左馬刻、銃兎。小官は冷静かつ現実的なアドバイスをしたに過ぎない。だが、重要拠点を軽んじている傾向が左馬刻にはある。それは今後、大きな問題となる恐れがあるんだ。そこだけは…」
__コンコン
理鶯の本気のアドバイスに左馬刻も銃兎も苦笑いを浮かべる事しか出来ない。
少女と言い、理鶯と言い、この少し他とはズレた雰囲気はいつも左馬刻と銃兎の怒りを鎮める。
しかし、そんな理鶯のアドバイスは、ノックにより遮られた。
皆が扉に注目する。
「頭、お取込みの所失礼します。」
そう言って入って来たのは、
「おぉ、廉貞(れんてい)。何の用だ?」
左馬刻の舎弟の一人である、廉貞だ。
「最近、便追組の奴らが中華街で暴れているらしいです。」
その報告を受け、左馬刻と少女は目を合わせる。
恐らくは・・・
「そいつ等なら俺がさっきカタにはめといてやったよ。」
「流石頭。早いですね。」
「まぁな。」
左馬刻がドヤ顔で報告すると、銃兎は少し表情を険しくして少女を見る。
少女は気まずそうに目をそらしていた。
「若頭に凌霄花玄翁がついて、ウチのシマを乗っ取ろうとしているみたいですね。…どういたしましょうか。」
「玄翁のクソ野郎…次に手ぇ出したらぶっ殺す。」
話を聞きながら段々左馬刻の表情が険しくなる。
「それで、話があると言っていたが…。」
廉貞の報告がひと段落着いたため、理鶯が銃兎に問いかける。
どうやら、ご飯を食べるわけでもないのにここに集まったのは事情があったようだ。
「あぁ。その前に、人払いを頼む。」
そう言って銃兎は廉貞を見る。
左馬刻はそれで察したようで、
「外に出てろ。」
と廉貞に命じる。
廉貞が退出前に頭を下げると、
「廉貞。」
左馬刻が優しい声色で廉貞の名を呼ぶ。
「お前の妹、今日誕生日なんだろ?」
「…はい。」
左馬刻は廉貞が頭を上げたのを確認して、ズボンから何かを取り出し廉貞に投げた。
「妹に何か買ってやれ。お前の唯一の家族だろ?…家族は大事にしろよ。」
左馬刻が投げたのは財布だった。
…良い上司じゃねぇか。独歩が見たら泣くぞ。
「ありがとうございます。」
そう言って廉貞が退出するとき、銃兎が
「あぁ、そうだ。Aさんも出て行って貰っても?」
とニッコリスマイルで少女に告げた。
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きな粉もち - いもけんぴさん» ご返信ありがとうございます。楽しみに待っています! (2022年10月29日 18時) (レス) id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - きな粉もちさん» きな粉もち様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - くりゅさん» くりゅ様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - れんさん» れん様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 人間洗浄機シリーズ、いつも楽しませていただいております!8以降のパスワードを教えていただけないでしょうか? (2022年10月26日 16時) (レス) @page47 id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年1月17日 19時