人間洗浄機７

日常257　必殺猫パンチ ページ45

「はぁ〜。」

銃兎がため息を吐きながら左馬刻と少女を睨む。
そのわけは、

「いつもの事ながら、街中で暴れるんじゃねぇ。…もみ消すこっちの身にもなれ。」

先ほどの中華街で起こした騒ぎの件についての説教だ。
申し訳なさそうに受けている少女はともかく、左馬刻は悪びれる様子も無くむっすーとしていた。

「てめぇの事情なんか知るかよ。」

「あ、あはは。」

左馬刻が発言すると銃兎がギロリと睨みを聞かせてくるので少女は苦笑いを浮かべるしかない。

「左馬刻、感心しないな。」

そこで、珍しく理鶯が口をはさむ。
少女はギョッとした表情で理鶯を見た。

「何だよ。お前までこのクソウサ公と同じこと言いやがんのかよ。」

左馬刻は拗ねたように理鶯を見る。
理鶯は静かに首を振り、

「違う。自陣に攻め込まれたのならば対応が雑過ぎる。」

「あ、まさかのそっちのダメ出しですか。」

理鶯の口から出たのは、暴れたことに対するお咎めではなく、左馬刻の対応の甘さに対するダメ出しであった。

「まずは重要拠点の守りの強化、及び保全だ。大規模な敵軍が侵攻しても、重要拠点が万全であれば優位に戦いが勧められる。」

理鶯のダメ出しを聞きながら、左馬刻は気まずそうに目を背ける。
しかし、少女は理鶯のダメ出しを聞いて、驚いていた。


＿＿○○君、本当に将棋が強いね！
＿＿パパに教わったんだ。まずは重要拠点、王将の周りの守りを強化することが大事なんだ！そうすれば、…ほら！

＿あれは、いつの記憶？確か…


「理鶯、この馬鹿をあまり煽らないでください。」

「あぁ！誰が馬鹿だとゴルゥア！」

思考は左馬刻の怒鳴り声により、かき消された。
少女はハッとして前を見る。

「どういう状況？」

「どうやら、小官のせいで喧嘩をしてしまったようだ。」

「多分、理鶯さんは悪くないですよ。」

そこには席を立ち、銃兎の胸蔵を掴む左馬刻の姿が。
銃兎も銃兎で引く気はないらしい。煽る気満々の表情だ。
少女は少し周りを見渡してスカルを探す。

「こういう直情的なところが馬鹿だって言ってんだよ。」

「てんめぇ！！」

「はいはーい。ストップ。」

喧嘩がヒートアップしそうになった瞬間、横から声が入る。
この場に似つかわしくない怠そうな声だ。

銃兎と左馬刻が横を向くと、

「猫パーンチ。」

スカルの顔が。
そして、頬に緩い猫パンチをくらう。

「これぞ喧嘩両成敗。スカルの勝ちだね。」

少女のあまりの緩さに２人は脱力するしか無かった。

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