✿大奥に咲く七輪の華✿ (ページ18)

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京の者が大奥に入ったその日の夜、

上様の御所に集められたのは俺と藤ヶ谷。

上様が見せてくれたのは契書。

その内容を見て藤ヶ谷と顔を合わせる。

「大奥を廃止する。
そして、京を中心にこの国の行く末を任せる。」

『···それは
天皇家へ代替わりすると言うことでしょうか？』

「いかにも」

「何故この時に？」

藤ヶ谷の問いかけに上様は俺達の顔を順に見つめる。

「勿論、蘭の存在もあるが
我が国は翌年より外交を始める。
他所の国の者たちは
常に刀などを持ち歩いている我らを恐れて
より良い外交が出来なくなる。
刀を廃止する取り組みもしたい。
そのために天皇家に全てを託し、
我らは時代の一区切りとして大奥を廃止する。
今度の新たな時代に、大奥のような場所は必要ない。
代々、姫君だった上様が俺の時代は男だ。
世継ぎも望めない。
今、この時に大奥を廃止するには充分な理由だろ？」

上様の意見はごもっともだ。

‥‥だけど…っ…

『しかしながら…
「現に辻斬りが横行しているのは民の反発とも言えよう。
もうこの大奥は時代遅れ。
玉森家も母上の時代で終わらせるべきだった。
···って、
正当な理由ばかりダラダラ並べても仕方ないか。
二人だけには俺の本心を話す。」

上様は上座から降り、俺と藤ヶ谷の手をそれぞれ握る。