2-まさかの即詰み ページ3
俺は一色若葉の気遣いを断り、爽やかな笑顔でその場を離れた。冨岡義勇フェイスだからな、好感を持たないわけがない。
元から身体が弱いのだ、と誤魔化して俺は外へ出た。
それから、色々と探りを入れ、常中によって強化された身体で、車で行けば二時間ほどあった俺の生まれ故郷に行って、探した結果。
「俺の家……無くね?」
俺は顔面蒼白だった。何せ、俺の家どころか、俺の家族の存在も無く、俺という存在すら、周辺に聞き込みをしても見つからなかった。
つまり。
つまりは、だ。
「俺の戸籍……ない……?」
俺という存在は、正真正銘、この世界に突然現れた人間、ということである。
不味い。不味いなんてものじゃない。
まず、戸籍がないと社会保障が受けられない。医者にかかるなど、その他諸々の場面で金が大量に必要になるのだ。
そして、真っ当に働けない。当たり前だ、今の俺は市役所で保険証など、俺の人間としての証明をする何かすらないのだから。
また、俺は違法滞在者としての見方もできる。だって俺はここに戸籍がない、つまり日本国民だとすら認められない人間だ。
つまり俺はもう犯罪者である。
「詰んだ?? 嘘だろ……」
あのクソじじいのあっやべ、が原因なのは明白である。
そして、目下最大の問題は、俺には金がない。今の俺の服装は、Tシャツにジーパン、スニーカーの子供である。
本当に、何も、無いのである。
もしかしたら俺の記憶が無いだけで、家族がいるのかもしれない。だが、今現在それを示唆するものなど一つも持っていない。
少なくとも俺の地元は俺のことを知らないようだし、この日本から俺のことを知っている人間を見つけ出すなんてほぼ無理だ。
警察に届け出る? そうして本当に俺の戸籍が無かったらどうする。その時点で俺は犯罪者、顔も割れるから指名手配待ったなし。
それに、俺の今の身体能力はマジで化け物だ。車で二時間を一時間でやってきたからな。息切れもしてない。やべーな化け物かよ。
下手したら解剖とかされるんじゃないかと思う。
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