彼女は知る ページ45
全てを語り終えると、辺りはしぃんと静まり返った。
すんすん、と鼻を啜る音が聞こえるだけで
誰も、何も、言おうとは思えなかった。
おそ松達は静かに今の話を聞いて
同情するような
自分の事のように傷付いたような
何とも言えないような
悟るような
今にも泣きそうな
酷く心を痛めたような
そんな表情をそれぞれ表した。
彼女については知らない事ばかりだった。
ただ猯↓瓩亡悗錣辰討い訖祐屬任△蝓更には人格障害を患っているのだから
何かしら後ろ暗い背景があるのだろうなとは思っていた。
それでも笑顔を振り撒く彼女の姿は
時々見ていて辛くなる時もあった。
どんな人にも優しい彼女を逆に心配してしまう時もあった。
クロの記憶とは切り離されていただろうとおそ松は思っていたが、そうではなかったと知って、彼は同時に衝撃だった。
「………………」
Aの話に重い空気が漂う中、ふと彼女の鼻を啜る音さえも聞こえなくなった事に気付いた。
倒れているAの方を見遣ると、彼女はその場を微動だにせず、髪の隙間から見えた彼女の表情は、酷く穏やかなものだった。
「………………そう」
呟くように、彼女は告げる。
短い返答だったが、その声音だけでおそ松達は彼女がAではなく今はクロなんだと思った。
彼女はポツリポツリ、続ける。
「……全部………知ってたの………ね。
…………ううん、大丈夫。怒って、ないから」
彼女は猗狃自身瓩範辰靴討い襪里、まるで誰かと話しているかのように会話を続ける。
だが不意に彼女は声のトーンを落とすと
震える声で呟いた。
「…………私は、ただこの悪夢から解放されたかったの。アナタのように、生きたかったの。
でもやっぱり……ダメね。所詮、私は…アナタじゃないもの。
私は……本当の人間じゃないから」
ポロポロと、彼女の瞳から涙が溢れる。
とても綺麗な、無色透明の涙。
クロは誰よりも自覚していた。
自分は本当は存在してはいけない存在なんだと。
自分の存在は異端であり、Aにも迷惑を掛けてしまう存在なんだと。
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柊(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)
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