検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:21,697 hit

ルビーは苦悩を打ち明ける ページ31

「信じてあげたい。でも、信じられないんだ。心の何処かで疑って、怖がってる。
終いには何度も頭の中でAちゃんを殺しちゃうの。

別に嫌ってるワケじゃないよ?
でもさぁ……こればっかりはどうしようもないんだよねぇ」



ヘラヘラといつものように笑いながら、おそ松は冗談っぽくそう言った。

しかしカラ松にはその表情が何処か悲しげに歪んでいるように見えて、思わず目を見張る。



信じたい。でも、信じられない。

ソレは耐え難い苦痛だ。


どんなに時間を共にしても、どれだけ面白おかしく過ごしても。

例えそれが家族のように慕う人であれ、自分の最愛の人であれ。


おそ松には女性を心から信用する事は出来ない。

したくても、出来なかった。


挙句、昔の恨みをぶつけるように、相手を殺す事を考えてしまう。

その手で、ナイフで、銃で、縄で。
何度も何度も相手を殺して、何度も何度も無残な姿を想像してしまうのだ。



おそ松には、いつしかソレが現実になってしまうんじゃないかと怖かった。

この醜い気持ちが溢れて止められなくなってしまうんじゃないかと、怖かった。


その矛先がAに向かうのを恐れて
おそ松は必要以上に彼女には近付かないようにしていた。



「おそ松……」

「……って、何の話してんだろうな、俺ら。
そんな事よりAちゃん探すのに集中しないと!またチョロ松に怒られるぞ〜?」



おそ松の話にカラ松は絶句してしまい、気不味い沈黙に耐えかねたおそ松が口を開いてケラケラ笑った。

再びタバコに口を付けて、ふぅと煙と共に息を吐く。
そろそろ高速から下りようか、それともこのまま進もうか。
おそ松が決めかねていると、不意にカラ松が呟くように口を開いた。



「……今回もお前は、1人で抱え込んでいたんだな」

「ん〜…?」

「お前はいつもそうだ。いつもは笑ってバカみたいに過ごしてるクセに、そういう事は平気で誰にも言わない。言おうとしない」



何だか怒っているような口調におそ松は感じた。

最初はとぼけようかとも思っていたが、おそ松は横目でカラ松の表情を一瞥する。


カラ松の表情は、複雑に歪んでいた。

怒りと悔やみと、少しの罪悪感で歪んでいた。

ルビーは半分背負わせる→←サファイアは素直だ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
64人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月9日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。