サファイアは告げる ページ26
「本当だったらお前なんか放っておいて探しに行きたかったよ!」
「でも車無いとやっぱ不便だったから仕方なく迎えに来てあげたんでしょ!」
「ご、ごめんなさい……」
「ねぇ、コイツだけ此処に置いて行かない?」
「そうだな〜、Aちゃん取り逃しちゃったもんねぇ」
「さんせーい!」
「…………グスッ」
「いや、冗談だって。泣くなよカラ松」
次々と兄弟達から辛辣な言葉が放たれ、己の不甲斐なさも相まってカラ松はグズグズと子供のように涙ぐむ。
そんな情けないカラ松を宥めるおそ松の隣で「俺は本気だけど」と呟く一松の言葉が、更にカラ松のデリケートな部分に突き刺さった。
途端にボロボロと涙を流す弟におそ松はポンポンとその頭を撫でてやりながら兄弟達を見渡し、本題に戻った。
「とりあえず、当てはあるの?」
「ンなモンあったらとっくに向かってるわ」
「少なくとも赤塚区外だろうね。
流石に此処まで来て、わざわざ戻って近所に潜伏してるとは思えないし」
「デカパンの所かな?!」
「デカパンの所は赤塚区内だよ、十四松兄さん」
暫く彼女と過ごして来たものの、そういう所は特に思い浮かばないようだった。
おそ松もコレと言って思い浮かぶ事は無く、兄弟達を悩ませたが、不意にチョロ松が「そう言えば」とトド松の方を見遣った。
「トド松、お前パソコン持って来たよな?」
「あ、うん。一応」
「アイツのぬいぐるみ、確か発信機取り付けたハズだから、ソレ辿ればいいんじゃね?」
「「「「おお〜〜!!」」」」
Aが普段肌身離さず持っているぬいぐるみのクロの首輪にはチョロ松の言う通り発信機が取り付けられていた。
ソレで彼女が万が一迷子になったりで兄弟達から離れる事があっても、見つけられるようにしていたのだ。
とは言っても彼女が彼等から離れる事はなく
また、兄弟達もなんだかんだで彼女から目を離す事がなかったので今まで1度も使用した事はなかったのだが。
他の兄弟達も発信機の存在は忘れかけていたようで
皆感嘆の声をあげ、尊敬の眼差しでチョロ松を見遣る。
ただ1人、表情を曇らせるカラ松はパチパチと拍手を受けるチョロ松に対し「あの……」と小さく手を挙げて言いづらそうに告げた。
「Aのぬいぐるみ………此処にあるんだ」
「「「「「え?」」」」」
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柊(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)
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